遺される家族のことを想って

お客様の悩み・状況

村田さん(仮名)という45歳の方が来社されました。
村田さんは、高校生のお子様(A様)がおられるそうで、そのお子様は障がい者手帳1級の交付を受けているそうです。
今は元気に学校に通っていますが、これから先、苦労することもあるのではないかと少し不安を感じています。
自分が元気な間であれば、何があっても助けてあげられると思うが、何時まで元気でいられるかは分からない、将来、相続の問題が生じたときに他の兄弟との関係が気になっているということで相談をいただきました。
できれば、将来、必要となるある程度の生活費を確保してあげた上で、一定の財産を遺してあげたいという希望をお持ちのようでした。

解決内容

村田さんの希望は、①お子様(A様)の生活費を確保する、②万が一のために一定の財産をお子様(A様)に遺してあげたいというものでした。
そこで、特定贈与信託をお勧めしました。
特定贈与信託とは、障がいを持つ方のご家族などが金銭や収益不動産等を信託財産として提供し、障がいを持つ方が、その信託財産から生活費や医療費などを定期的に受け取ることができるという契約です。この信託を利用すれば、障がいの程度によりますが、3,000万円または6,000万円を限度として贈与税の負担せずに財産を贈与することが可能となります。
ただし、お子様(A様)の生活を本当に安心できるものにするためには、長期的なライフプランの作成も必要です。したがって、この機会を捉えて、お子様(A様)の将来について、他の御兄弟も含めて家族会議を開き、良く話し合ってみてはどうかとお勧めいたしました。
生活資金を確保するだけではなく、これからの人生を有意義なものとするために、それぞれの方の価値観を尊重したライフプランを一緒に考えさせていただきます。

多様な価値観を受けいれながら、さまざまな方が幸せに暮らせる社会を目指します。多様性を受け入れられる社会を作るために、できる限りのお手伝いをさせてください。
(参考条文:相続税法21条の4)

投稿者:吉岡 潤 役職:税理士

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的な事例について述べたものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。