相続について

相続人の一人の申告もれによる修正申告で、他の相続人に追加納税が生じたとしても、加算税や延滞税まで負担しなければならないのですか。

相続税の申告は、相続人全員が、被相続人(亡くなった方)の財産を把握し、申告を行うことが必要とされています。

いうなれば、全相続人が、等しく相続人としての通常の注意義務をもって、実現可能な範囲で相続財産把握につとめ申告を行う責任を負っているということになります。

そのため、仮に相続人一人の申告漏れであったとしても、他の納税者の方が通帳の注意義務をもって、確認しようとすれば出来た財産を、確認を怠り申告していなかった場合には、等しく加算税、延滞税が付加されることとなります。

ただし、相続人の一人が財産を隠匿し、通常の注意義務でもって財産の捜索をしたとしても把握不可能だったようなケースでは、加算税が軽減される可能性がありますので、疑問が有れば、調査担当者に相談することをお勧めします。

なお、延滞税は、納付が終了するまでの期間に対する利息的な性質を有する税ですので、その納付までの期間に応じて等しく賦課されることとなります。

《参考法令》国税通則法60条、65条

投稿者:小林幸生 役職:税理士
相続人の一人の申告もれで相続税の修正申告書を提出することになりましたが、他の相続人に追加納税が生じるのは何故ですか。

一人の申告漏れで、他の総則人に追徴課税が生じるのは各相続人の相続税の計算の仕方に関係があります。

次の表をご覧ください。

(国税庁HPより)

相続税の総額は、総遺産総額を法定相続分で案分したものに税率をかけて計算します。
そのため、相続人の一人の申告もれであっても相続税の総額は増加することとなります。
この増加した相続税の総額を、実施に相続人の方が相続した財産の割合で案分して送付すべき相続税額を計算することとなるため、例え特定の相続人の申告漏れであっても、相続財産を取得した相続人全員の税額に影響が生じることとなります。

《参考法令》相続税法16条、17条

投稿者:小林幸生 役職:税理士
税務調査の連絡があり、資料を見直していたところ、申告誤りに気づきました。調査が行われる前に修正申告書を提出すれば加算税はかからないでしょうか。また、延滞税もかからないでしょうか。

税務調査の連絡が有ったということですので、国税通則法第74条の9第1項第4号及び第5号(納税義務者に対する調査の事前通知等)等に定める調査通知は既に行われていると考えられます。

したがって、具体的な調査が行われたことにより、更正を予知して行った修正申告でなかったとしても、5%の過少申告加算税は賦課されます。
また、延滞税は、納付が終了するまでの期間に対する利息的な性質を有する税ですので、その納付までの期間に応じて賦課されることとなります。

《参考法令》国税通則法60条、65条

投稿者:小林幸生 役職:税理士
修正申告書を提出しても加算税がかからない場合があると聞きました。どのような場合に加算税がかからないのでしょうか。また、その場合は、延滞税もかからないのでしょうか。

相続税も、他の税目と同様、自主申告制度を採用していますので、納税者の方が自主的に申告内容を見直し、その誤りを修正した場合には、更正を予知しない修正申告書となりますので加算税は適用されません。

また、税務署が質問検査を行わず、自発的な申告の見直しを促すいわゆる「行政指導」に対応して申告内容を見直し、その誤りを修正した場合であっても、更正を予知しない修正申告書となりますので加算税は適用されません。

なお、延滞税は、納付が終了するまでの期間に対する利息的な性質を有する税ですので、前述のようなケースであっても、その納付までの期間に応じて賦課されることとなります。

《参考法令》国税通則法60条、65条

投稿者:小林幸生 役職:税理士
修正申告書の提出後に税務署から加算税の賦課決定通知書と延滞税の納付書が届きました。いつまでに納付すべきという期限はありますか。また、納付が遅れた場合、罰則があるでしょうか。

加算税の賦課決定通知書を受け取った方は、その通知書が発行せられた日の翌日から起算して1月を経過する日までに納付しなければならないとされています。また、延滞税は、その額の計算の基礎となる国税(相続税)に併せて納付しなければならないとされています。

なお、速やかに、納付しなければならない税ですが、納付が遅れたことによる罰則は特に定められていません。

ただし、期限を徒過しても納付されていない場合には、滞納している状況となりますので注意が必要です。

《参考法令》国税通則法35条、60条

投稿者:小林幸生 役職:税理士
修正申告書を提出した場合、相続税の増差税額の他に、過少申告加算税(又は重加算税)と延滞税がかかると聞きました。どのような税で、どのくらいかかるのでしょうか。

加算税は、申告義務が適正に履行されない場合に課される一種の行政制裁的な性格を有する税です(国税通則法65条乃至68条)。
また、延滞税は、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課される、利息に相当する税です(国税通則法60条)。

【加算税】

【延滞税】

原則・・・年「7.3%」
例外・・・令和2年12月31日までの期間は、年「2.6%」

投稿者:小林幸生 役職:税理士
相続税の修正申告書を提出する場合、その相続税の増差税額の納付はいつまでにしないといけないのでしょうか。

確定申告書を提出した後で、税額を少なく申告していたことに気付いたときは、修正申告をして正しい税額に修正することとなります。

なお、修正申告によって新たに納付することになった税額は、修正申告書を提出する日(納期限)までに納付する必要があります。
この納付する税額には、原則として、加算税及び法定納期限から完納日までの期間に対し延滞税がかかりますので留意してください。

《参考法令》国税通則法19条、35条、60条、65条

投稿者:小林幸生 役職:税理士
相続税の税務調査で、同族会社の株式の一部が名義株だと指摘されました。名義株とは、どのようなものをいうのでしょうか。

名義株とは、会社の株主名簿に記載されていない株主で、その株式の実質的な所有者と株主名簿が一致していない株式のことをいいます。

以前の商法では、「会社を設立するときは最低7人の発起人が必要」とされていましたので、特定の個人が100%出資しているにもかかわらず、家族や親戚、従業員などの名前を借りて会社を設立することが多く行われました。この家族や従業員は、名前を貸しただけなので、自分がその会社の株主であることを認識していないケースも多分にあります。
実際に出資して、実質的に株主の権利を持っている個人以外が株主となっている株なので名義株といいます。
相続税法上、このような名義株は、名義人の財産ではなく実質的な所有者の財産として取り扱われます。

なお、名義株の株主か否か確認する基準としては
①出資(可能性)の有無、②株主総会への参加状況(株主権の行使状況)、③配当金の受取状況などが有ると言われています。

円滑な企業の承継のためにも、名義株は、早期に解消することが望ましいと考えます。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
相続税の税務調査で、「それは被相続人の預け金に該当するのではないですか」という指摘を良く受けますが、なぜでしょうか。

税務調査においては、調査初期に調査担当者から「被相続人から贈与を受けたことはありませんか」という質問が行われます。これは、後から、納税者の方より、実は贈与して貰った財産が有ったという主張が出ることを抑制するためだと言われています。

しかし、故意か過失かは別にして、実際に贈与が有るにもかかわらず、認識不足から「贈与は無い」という返答する納税者の方も多いようです。

また、同様に調査担当者から「被相続人から借りていたものはありますか」という質問も行われますが、被相続人に返すものがあるとは言いにくい面もあって、「借りていたものは無い」と返答する納税者の方もいるようです。

そうすると、当初のそのようなやり取りに拘束され、実態として贈与や貸借が有るにも関わらず、贈与も貸借も無いと認定され、消去法から、預け金だという指摘につながってくるものと考えられます。

意図的に税金を誤魔化すことはあってはならないことですが、事実を踏まえた上で、事実に基づいた課税は行うべきです。明らかに預け金でないものを預け金として課税すれば、その財産の性質も課税時期も、事実と異なるものとなってしまいます。

そのようなことにならないためにも、曖昧な回答は避け、事実に基づき積極的に調査に協力するようにしましょう。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
20年以上前から私の名義であった不動産の売却代金をそのまま預金として残していたところ、購入資金が被相続人の預金からの支払であったことが判ったため、私に対する預け金と指摘されました。この場合、預け金に該当するのでしょうか。

被相続人が取得資金を拠出したのに、20年以上前からあなたの名義になっていたという不動産の取得の経緯が不明であるため、確たることは申し上げられませんが、被相続人の取得資金をあげるという申し出に対し、あなたが貰うという意思表示をしていたのであれば、その後の資金の流れから、(贈与税の申告が無くても)贈与契約があったと認定される可能性が高いでしょう。

他方、被相続人の貸すという申し出に対し、あなたが借りるという意思表示をしていたのであれば、その後の資金の流れから、貸借契約があったと認定される可能性があります。ただし、親族間の貸借ですので、契約書の作成、利息の設定、計画的な返済が行われていない場合には、実質的な贈与があったとみなされる可能性もあります。

また、被相続人が、一定期間まで預けておくから使用しても良いが、期限が来たら同じものを返して欲しいとの申し出があり、あなたがそれに了解していたのであれば、消費預託契約があったと認定される可能性もあります。

最後に、あなたが20年以上、所有の意思をもって、善意で、平穏かつ公然と所有していたのであれば、記載はされていませんが、時効取得を援用していた可能性も排除はできないと考えます(時効の問題は、様々な論点を含むので可能性にのみ言及)。

ご照会のケースでは、固定資産税の負担や不動産の管理状況、売買契約の締結状況など詳細な情報が不明なため断言はできませんが、不動産の取得資金やその後の売却代金を被相続人からあなたが継続して預かるというようなケースは、余りないと思いますので、預け金に該当する可能性は低いのではないでしょうか。 

《参考法令》民法162条、549条、587条、657条、666条

投稿者:小林幸生 役職:税理士
私が10年前に自宅を購入した際の資金の一部を被相続人が出してくれましたが、贈与税の申告が未了であったため相続税の調査で預け金と指摘されました。このような場合、預け金に該当するのでしょうか。

あなたが10年前に自宅を購入した際に、被相続人(亡くなった方)とはどのような約束になっていたのか不明であるため確たることは申し上げられませんが、被相続人の購入資金をあげるという申し出に対し、あなたが貰うという意思表示をしていたのであれば、その後の資金の流れから、贈与契約があったと認定される可能性が高いでしょう。

他方、被相続人の貸すという申し出に対し、あなたが借りるという意思表示をしていたのであれば、その後の資金の流れから、貸借契約があったと認定される可能性があります。ただし、親族間の貸借ですので、契約書の作成、利息の設定、計画的な返済が行われていない場合には、実質的な贈与があったとみなされる可能性もあります。

最後に、被相続人が、一定期間まで預けておくから使用しても良いが、期限が来たら同じものを返して欲しいとの申し出があり、あなたがそれに了解していたのであれば、消費預託契約があったと認定される可能性もあるでしょう。

因みに、贈与税の申告がなかったことのみをもって贈与はなかったと断定することはできませんので、前述のどのケースに該当するか、直接又は間接証拠に基づき判断することとなります。

なお、ご照会のケースでは、自宅購入時の詳細な経緯が不明なため断言はできませんが、一般常識から考えても、預け金に該当する可能性は低いのではないでしょうか。 

《参考法令》民法549条、587条、657条、666条

投稿者:小林幸生 役職:税理士
被相続人から貰ったお年玉等を、私(子)が、孫名義の通帳に入金し管理していましたが、相続税の調査で被相続人の財産ではないかと指摘されました。孫の財産とは認めてもらえないでしょうか。

預金の帰属は、一般的に、口座開設の目的、出捐者、管理・運用者、法定果実を享受するもの者などを参考に判定するものとされています。

そうすると、被相続人から孫(あなたの子)がもらったお年玉を、孫名義の預金を作って管理する行為は、お年玉の管理・運用を、あなたが親権者として一時的に代行していたとみることもできますので、孫が、その預金の存在とあなたが管理しているという事実を知っており、孫が成年に達したときに、利息等の額を含め、その残高のすべてを引き渡している場合には、孫の財産と認められる可能性はあります。

他方、孫名義の預金の管理を、もともとはあなたが親権者として代行していたとしても、孫が成年になって以降も孫に引き渡していない場合は、管理・運用者と法定果実を享受する者があなたになりますので、あなたの財産と認定される可能性があります。

いずれにしても、あなたと被相続人が同居しており、被相続人がその預金を管理していたというケースでなければ、被相続人の財産だと認定される可能性は、低いのではないでしょうか。

《参考法令》民法833条

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
私(被相続人の妻)名義の預貯金は、私が生活費を工夫して貯めてきたお金ですが、相続税の調査で被相続人の財産ではないかと指摘されました。私の財産として認めてもらえますか。

被相続人から渡された生活費を工夫して貯めたとしても、その状況では、夫婦の共有財産(生活費の剰余金)と推定されるだけですので、結果として収入を得た被相続人(出捐者)の財産であることに変わりはありません。
あなたの財産として認められるためには、生活費として渡されたという状況とは別に、剰余金相当額をあなたが贈与されたということを客観的に示す必要があると考えます。

例えば、一定の時期において、共有財産であるあなた名義の口座残高相当額を、被相続人からあなたに贈与する旨の書面を作成し、実際に、その口座内資金の引き渡しを受けている場合であれば、あなたの財産として認められる可能性はあります。

他方、贈与されたことを客観的に示す証拠がない場合は、あなたの財産だと主張することは難しいと考えます。
夫婦間の財産は明確に区分されにくいところもあり、双方の協力に基づき蓄財されたものであること等に配慮して配偶者控除の規定が設けられていることを考慮すれば、金銭の贈与を行うときは、きちんと贈与契約書を作成し、その契約に基づき贈与財産の引き渡し、区分が行われることが重要となりますので、留意してください。

なお、夫婦共働きの場合には、実務上、収入に応じて財産を按分するなど、別の判断となる可能性がありますので、税理士等にご相談ください。

《参考法令》民法762条

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
被相続人が、孫の大学入学金、寄付金を出してくれていましたが、相続税の調査で、私(被相続人の長男)に対する「預け金」と言われました。妥当な指摘でしょうか。

教育資金の一括贈与の非課税の規定を適用していないものとして回答します。

今回のケースでは、被相続人(直系血族)が大学の入学金を負担してくれたということですが、その行為が被相続人から誰に対するもので、その行為は贈与なのか、貸借なのか又は預託なのかによって課税関係や財産の区分(問6参照)は変わってきます。

ところで、扶養義務者間で社会通念上、通常必要と認められる学費の贈与は、非課税とされています。
なお、扶養義務者には、親のほか配偶者、直系血族、兄弟姉妹、三親等内の血族で生計を一にするもの等が含まれます。

したがって、仮に、被相続人から孫に対する入学金相当額の贈与ということであれば、その額が通常必要と認められる範囲内と認められれば、贈与税は非課税と考えられます。

次に、大学への寄附金ですが、一般的には寄付金は学費に該当しないと考えられます。
そのため、贈与税の課税対象となる可能性はありますが、そもそも大学に対する寄付金は誰が支払うべきものなのかという点は確認が必要です。
対象となる寄附金が、生徒が払わないといけないものなのか、親が払わないといけないものなのか、広く一般の方でも寄附できるものなのかによっても課税関係は変わってきそうです。
仮に、貴方が支払いの義務を負うものであったとしても、被相続人から資金提供を受けた行為が、贈与なのか、貸借なのか又は預託なのかによって課税関係や財産の区分が変わってくるということは前述のとおりです。

妥当な指摘かどうかは不明ですが、実際に行われた取引を、それぞれの要件に当てはめてみて検討してみてはいかがですか。

《参考法令》民法877条、相続税法19条、21条の3、国税庁FAQ

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
過去に、被相続人から結婚資金として500万円貰い、結納、結婚式、新居の家財の購入等に充当し残金100万円は貯金しました。その貯金は、相続財産だと指摘されるでしょうか。

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税の規定を適用していないものとして回答します。

まず、扶養義務者間(親から子へなど)で社会通念上妥当と認め有れる金額を生活費等に充てるために贈与した場合には、贈与税の対象となり、その贈与は非課税とされています。
新居の家財(家具、寝具、家電製品等)の購入にどの程度の費用がかかったか定かではありませんが、その金額が社会通念上、妥当な範囲の金額であれば、贈与税の非課税財産として取り扱われます。

次に、結納金、結婚式費用ですが、結婚式費用等は、地方の風習にもよりますが、その結婚式の内容、招待客との関係、人数等から家と家の行事として行われるようでケースでは、親が結婚式の主催者ということにもなりえます。
そうすると、結婚式に関連した費用は、親が自ら支払うべきものということになりますので、特に課税の対象にはなりません。仮に、結婚式等のお祝いとして、親が子に御祝い金を贈与した場合には、社会通念上妥当と認められる金額までは、贈与税の対象とならないような取り扱いがされています。

ところで、結婚資金500万円のうち残った100万円ですが、前提として、親から貰ったという認識は親子ともにもっているようです。
したがって、贈与契約は成立していますので、残ったお金100万円について、子供が貯金してきちんと管理しているのであれば、一括で貰った年に贈与が行われたみるべきであり、その年分で贈与税の対象となりますから、相続税の課税対象にはなりません。

なお、その贈与が相続開始前3年以内であった場合、相続財産に加算されることがありますので注意してください。

《参考法令》民法877条、相続税法19条、21条の3、国税庁FAQ

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
被相続人から家族へ毎年金銭贈与があり、贈与税の申告をしていましたが、贈与税は被相続人がまとめて納付していました。この状態で相続が発生したら、課税関係はどのようになりますか。

贈与税の申告を行っていることは、贈与が有ったことを証明するために一つの材料にはなりますが、それをもって贈与が有ったことを立証することまでは出来ません。

したがって、贈与意思、贈与の目的、贈与された金銭の管理状況、家族の自由意思による使用の可否などを考慮して、家族に対する贈与が実現していたか、それともまだ被相続人(亡くなった方)の財産であったかを判定する必要が有りようです。
また、贈与税の納付は済ませているということですが、相続財産になるのであれば、贈与税の課税要件である贈与そのものが発生していませんので、還付請求権が発生することとなりそうです。

ところで、被相続人が納付した資金の扱いはどうなるのでしょうか。
仮に、贈与が成立していて、納付についても贈与資金と同様の解釈が可能であれば、納付資金も贈与されたものといえるのではないでしょうか。他方、一時的に立て替えるとの約束で納付したのであれば、家族への貸付金になる可能性があります。

贈与が実現していなかった場合には、様々な見解が想定できそうですが、還付請求権として被相続人の相続財産になる可能性も否定できません。
相続対策のために、良く贈与税の申告書を提出したから大丈夫と言われる方がいますが、実態を伴った取引であることが前提ですので、十分に注意してください。

《参考法令》民法549条、587条、657条、666条

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
金融機関の取引履歴を確認され、被相続人から家族への資金移動について、「預け金」、「贈与」又は「貸付」だと指摘を受けました。「預け金」、「贈与」、「貸付」の違いは何ですか。

預け金ということであれば、被相続人(亡くなった方)が、家族に資金を預けることを申し出て、家族がその申し出を受諾することです(「これ預かっており!」と言ったのに対し「分かった、預かる!」と回答した状況)。
贈与ということであれば、被相続人が、無償で家族にその資金を与えることを申し出て、家族がその申し出を受諾することです(「これあげるよ!」と言ったのに対し「分かった、貰う!」と回答した状況)。

貸付の場合には、広い意味で2通りあると考えられ、一つは、被相続人から家族に、返還することを約束して資金を渡すことです(「これ貸すから返してね!」と言ったのに対し「分かった、借りる!」と回答した状況)。二つ目は、被相続人から家族に、同じものを返還することを約束して資金を預けることです(「これ預けるから、使ってもいいけど期限がきたら同じもの同じだけ返してね!」と言ったのに対し「分かった、預かる!」と回答した状況)。

家族間で行われるお金の流れですが、概ね「あげる」、「預ける」、「貸す」行為に区分されます。その取引が行われた状況で相続が発生した場合には、それぞれ財産としての区分が違いますし、当事者である家族の方が負う義務の内容も異なってきます。

相続税の調査でも確認を求められる事項ですので、相続財産をきちんと把握するためにも、一度整理してみることをお勧めします。

《参考法令》民法549条、587条、657条、666条

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
被相続人の預貯金の入出金の内容について、被相続人本人が自分で管理していたため、使途を聞かれても家族はほとんど判りません。分からないと回答してもいいのでしょうか。

家族の財産の管理方法にもよりますが、家族ではなく個人として財産を管理する傾向が強くなってきている昨今において、正直、自分のものでない口座の利用履歴を聞かれて、応えられることなどほとんどありません。同居していればまだしも、同居していなければ尚更です。
したがって、分からないものは、分からないと正直に回答してください。

ただし、被相続人(亡くなった方)の財産に関する事ですので、大口の入出金は、相続する財産を確定する段階で、ある程度使途を確認しているのではないかと考えます。
確認したものについては、確認結果を正直に伝えてください。
推測で話をしても問題はないですが、明らかになっている事実と推測は異なりますので、推測で話をするのなら、あくまでも推測であることを念押ししてください。

余談ですが、納税者の方又はその家族の名義になっている預貯金口座であっても、その入出金の使途を聞かれて回答できないものは、その口座を管理していた方の財産とみなされる可能性が高いです。そのような口座が有る場合には、相続税の当初申告の段階で、申告書の作成を依頼している税理士等にその旨説明し、誤りのない申告となるよう心掛けましょう。

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
提示した印鑑の印影を求められました。何に使われるのでしょうか。

印鑑の印影を求められる理由は二点あると考えられます。

まず、一点目は、誰の印鑑かを確認した上で、その印鑑を使用した口座がどれであるか後日確認を行うためです。
通常は、筆跡と併せて判断すると思われますが、その印鑑の使用者が、その口座の管理者である可能性は高くなります。

二点目は、その印鑑の使用頻度を確認するためです。調査担当者は、まず朱肉を付けず押印し、その後朱肉をつけて押印するといった作業を行っていませんか。これは、朱肉の残り具合から、最近使用した印鑑か、どれくらい頻繁に使っている印鑑かなどを確認する作業となります。

以前のような印鑑社会ではなくなりましたから今後印影の必要性は低下してくるかと思いますが、このように使用されている印鑑から口座の管理者を特定する、または申告漏れの口座が無いか確認するために印影を取得しているものと考えられます。

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
家にある通帳、印鑑を全部見せて欲しいと言われました。妻や子は自分で通帳等を管理しており勝手に持ち出すわけにはいきません。家族の通帳や印鑑の提示は断っていいでしょうか。

税務署等から、家族の通帳等も全部見せて欲しいといわれる理由は、数ある取引金融機関口座の実際の使用者を早期に確認し、どれだけのものが被相続人(亡くなった方)の管理する財産であったか特定するためです。
納税者の方に提示を求め、提出されなかったものや存在を知らなかったものは被相続人が管理していた財産である可能性が高いからです。

したがって、可能なら納税者の方とその家族の通帳等すべてを速やかに提示できれば一番良いのですが、質問のように提示できないケースもあるでしょう。
そのような場合は、きちんと理由を説明した上で、提示を断っても差し支えありません。
その上で、可能であれば、納税者の方やその家族が管理している口座の一覧を作成して調査担当者に交付し、自分たちの財産をきちんと区分して示しておけば、調査が早く終わる可能性があります。
調査担当者によっては、そのような一覧表を作成し提示するよう、敢えて求めてくる方もいます。
その際に注意すべきことは、前述したように、納税者の方が管理する口座を把握するため記載するものですので、敢えて記載から除外したり、うっかり記載漏れが生じてしまった場合には、困ったことになります。

一覧表に記載が無かったことのみをもって、相続財産だと言われることはないと思いますが、いろいろと確認され、誤解を解くのに苦労すると考えられますので、作成に当たっては、慎重に作成し、漏れがないように注意しましょう。

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
相続税の調査では、被相続人の預貯金について確認が行われると聞きましたが、何をどのように確認するのでしょうか。

相続税は、他の税目と異なり、根拠となる帳簿関係の保存が義務付けられていないことから、調査の必要性や調査優先度を判定するため、税務署等は、事前に預貯金履歴の確認を行うことができるとされています。
そのため、事前に3年から5年程度の取引履歴を確認し、被相続人の預貯金のなかに、大口の出金や入金が認められた場合には、その使途(化体財産)や入金元の確認を行うようです。また、取引金融機関、取引支店、取引頻度等から、どういった性質の口座であるか、誰が管理していた口座であるかなどを推測するのではないかと考えられます。

次に、実地の調査においては、税務署等は、相続人等へのヒアリングにより、口座開設の目的、資金の出捐者、通帳の管理状況、使用印鑑等を確認するとともに、通帳の現物から、被相続人のメモが残っていないかなどが確認されます。また、確認の必要性が有るにもかかわらず通帳等が保存されていない場合や、取引行為者を特定するために筆跡等を確認する必要が有る場合などは、金融機関等に対して伝票等の確認調査を実施するようです。
このような確認を行う目的ですが、一点目は、贈与されたものがないか、申告漏れとなっている現金やその他の財産が無いかを確認するためだと考えられます。 

二点目は、各預貯金口座等が実際には誰のものかを確認するためだと考えられます。
通常、普通預金は、日々の生活資金の決済等を行うことを目的に開設するものですので、その口座を管理している方のものだと判断する傾向が有るようです。
他方、蓄財を目的とする定期預金や低額貯金等は、名義に関わらず、口座開設の目的、資金の出捐者、通帳の管理状況、運用状況等を総合勘案して、誰が何のためにその口座を作成したかを踏まえ、誰のものかを判断する傾向が有るようです。

したがって、これらの判断に必要な情報を得るために、前述のようなさまざまな確認を行うのだと考えられます。

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
税務調査の際に、良く行われる質問等について教えて下さい。また、そのような質問等が行われる目的は何ですか。

税務調査の際によくある質問等及びその質問等の目的は次のとおりです。

 質問等の内容質問の目的(調査ポイント)
1被相続人の出身地、出身校、転居状況、職歴過去の居住地の確認、贈与(申告)の有無、被相続人名義の不動産や預金口座の有無の確認
2被相続人の婚姻、出産等の時期や場所
3相続人の出身校、転居状況や職歴贈与(申告)の有無、相続人名義の不動産や預金口座の有無、財産の管理者の確認
4相続人の家族の年齢、出身校、転居状況、職歴
5被相続人の出身地訪問回数、他の親族との付合い状況相続税調査での調査範囲(聴取対象者)の確認
6被相続人の性格蓄財、運用の傾向分析
7被相続人の趣味生活費以外の資金使途の確認
8被相続人の嗜好
9被相続人の病歴相続対策等の実施開始時期の推定
10被相続人の月々の生活費の額及び管理担当者相続時点での預貯金等残額の推計とその預貯金の帰属先の確認
11被相続人が購入した高級品や不動産の有無資金原資と相続財産の把握
12被相続人の取引金融機関、生保会社、証券会社等申告内容の検証、窓口担当者の確認
13被相続人の預貯金等の管理者、出金行為者等預貯金等の帰属確認
14被相続人の預貯金通帳等の現物調査申告内容の検証、被相続人の手書きメモ等の確認
15被相続人の届出印の現物調査印鑑の管理者、使用者、使用頻度の確認
16相続人の月々の生活費の額及び管理担当者相続人の預貯金残額の推計とその預貯金の帰属確認
17相続人の取引金融機関、生保会社、証券会社等相続人が自ら取引を行っていた金融機関等とそれ以外の金融機関等の区分
18相続人の預貯金等の管理者、出金行為者等預貯金等の帰属確認
19相続人の預貯金通帳等の現物調査通帳の管理状況、使用印鑑、手書きのメモ等の確認
20相続人の届出印の現物調査印鑑の管理者、使用者、使用頻度の確認
21被相続人の入院の有無、時期、病院名、病状等相続対策実施開始時期の推定、財産管理者の確認
22被相続人の入院後の意思能力の有無財産の帰属確認、不当利得等の有無確認 財産の帰属確認、不当利得等の有無確認  
23相続直前(病院で)の被相続人の財産管理状況(通帳や印鑑等)
24被相続人の収入状況蓄積可能財産の種類や額の推計
25被相続人の不動産売買状況譲渡代金の使途解明、購入代金原資確認
26被相続人の財産管理についての委任状況等(管理・運用・処分の行為者と行為時期)各財産の帰属先の確認、贈与成立の有無の判定、被相続人と相続人間で貸借がないことの確認
27被相続人の介護や入院にかかった費用申告内容(債務)の検証、出捐原資の確認
28相続人の収入状況相続人の蓄積可能財産の種類や額の推計
29相続人の不動産売買状況譲渡代金の使途解明、購入代金原資確認
30相続人の財産管理状況(管理・運用・処分の行為者と行為時期)各財産の帰属先の確認、贈与成立の有無の判定、被相続人と相続人間で貸借がないことの確認
31相続開始前に出金した預貯金の使途等(いつ、誰が、いくら、何に)現金での保有残高の推計、行為者等の特定、大口の出金等の使途解明
32生命保険の加入状況、加入の目的、被相続人が保険料を負担した保険の有無、証券の管理状況、証券の現物調査みなし相続財産の確認、保険権利金等の有無確認
33不動産の評価方法不動産評価の精度と適正性の確認
34同族法人の設立経緯、運営の状況同族法人を介しての節税スキームの有無確認
35同族法人と被相続人又は相続人との金銭や不動産の貸借状況同族法人に対する被相続人の財産及び負債の確認、取引実態の確認
36同族法人の株主総会の様子、配当支払い状況及び権利行使状況名義株の有無確認
37同族法人からの給与等の収受状況未収金の有無確認
38生前贈与の有無、贈与の経緯、贈与後の財産管理の状況贈与成立の有無、他に贈与がないことの確認
39未払費用の支払状況債務控除額の確認・手持ち現金額の確認
40未払公租公課の支払状況
41葬儀費等の支払状況
42被相続人の日記や手帳、被相続人の作成書類の現物調査被相続人の筆跡確認、行動補足、客観証拠への意味付
43郵便物の現物調査取引先や交友関係の確認
44香典帳の現物調査
45パソコンの現物調査
46貸金庫の内の現物調査保管物の確認、保管物の帰属確認
47税理士の関与状況どの程度詳細に説明されているか、詳細な検討が行われているかの確認
投稿者:竹内靖子 役職:税理士
お茶、お茶菓子、昼食等は用意した方が良いですか。近所に昼食をとれる場所がありませんが、事前にお伝えした方が良いですか。

お茶を用意することは、必須ではありませんが、和やかな場を作るのには有効です。
なお、お茶菓子まで用意する必要はありませんし、昼食も必要ありません。
特に、昼食の時間は、担当者の方が打合せや方向性を協議する時間でもありますから、気に掛ける必要なないと考えます。        
ただし、近所に昼食を取れる場所がないので有れば、事前通知の際に、その情報だけ伝えてあげれば、調査担当者の方は、助かるのではないでしょうか。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
実地の調査には、調査担当者は、何人位で来るのですか。

相続税の実地調査は、通常、2名の担当者で対応します。
軽易な誤りの是正などの場合、1名の担当者対応する場合もありますが、現物の確認や質問応答記録書の作成を行うことから、事後的に問題が生じないよう、1名1組で調査に臨むことが多いようです。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
実地の調査開始から、調査終了までのスケジュールを教えて下さい。

実地の税務調査は、事前通知により調査日程の調整が行われた後、概ね次のようなスケジュールで実施されるようです。

  1. 臨宅調査(調査初日) 
    ヒアリング ⇒ 現物確認調査 ⇒ 現況確認調査 ⇒ 質問応答記録書作成
  2. 反面調査(金融機関等調査) 
  3. 調査結果に関する確認
  4. 調査結果の説明
  5. 修正申告書の勧奨・更正処分(又は是認通知)
  6. 調査終了

上記①から⑥までの期間は、平均すると3ヶ月程度だと言われていますが、長いものは1年近くかかるものもあるようです。    
また、調査に積極的に協力し、早期に結論が出せれば2ヶ月程度で終えられるものもあるようです。

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
実地の調査に要する日数を教えて下さい。

実地の調査ですが、初日は9時頃から昼休憩1時間を挟み17時頃まで実施されます。
概ね1日で終了しますが、内容によっては2日かかることもあるようです。
なお、実地の調査全体でかかる日数は、金融機関への調査等を含めますと10日~20日程度はかかるのではないでしょうか。

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
10年を超える古い通帳を保管していますが、全部提示すべきでしょうか。

積極的に提示することまでは必要はないでしょう。
ただし、10年以上前に贈与が行われたこと、又は貸借が有ったことなどを立証する必要が有る場合は、その通帳を提示し、証拠とすることも一考です。

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
預貯金通帳など、古いものはその都度廃棄してしまっていますが問題でしょうか。

預貯金通帳などを廃棄してしまっていること自体は問題ではありません。

ただし、相続税の調査では、過被相続人の方の過去の大口入出金の使途や、生活費の負担状況を確認されることがありますので、相続税の申告時に取引履歴を取得し、その履歴で解明できたものは、あらかじめメモを残すなどして保存しておくことをお勧めします。

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
預貯金の通帳や証券会社の保有残高の報告書等は何年分残しておくべきでしょうか。

相続税の税務調査に当たって、預貯金通帳や証券会社の保有残高報告書等を何年間保存しておかなければならないという決まりはありません。
ですが、相続税の申告の基となった書類ですし、税務調査では、税務署等は、最大10年程度遡って預貯金等の推移を確認するようですので、その調査に対応する納税者の方も、相続税申告書を作成した際の根拠となる書類は出来る限り保存しておいた方が良いでしょう。

特に、税務調査を受ける場合には、過去の被相続人の方の大口の入出金の使途や、生活費の負担状況を確認されることが多いようですので、通帳を確認し、特に解明できるものはメモを残すなどして保存しておくことをお勧めします。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
被相続人の自宅のリフォームや建替え等はしない方がいいのですか。(相続時の現況を保存する必要はありますか)

被相続人(亡くなった方)の自宅は、相続の発生により、その相続人等に所有権が移転しますので、その後の管理はその方の判断によると思います。また、相続時の現況を保存する必要もありませんので、リフォームや建て替えを特に控える必要もないでしょう。

なお、相続後、リフォームや建て替えを行った場合には、その資金の出捐を確認される可能性があるほか、相続開始前にリフォームや建て替えを行った方が相続税の計算上、有利に働く可能性がありますのでその点は留意が必要です。

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
被相続人の自室や私物(貴金属、着物など)はそのまま残しておくべきでしょうか。

被相続人(亡くなった方)の自室や私物は、相続の発生により、その相続人等に所有権が移転しますので、その後の管理はその方の判断によると思います。
被相続人との思い出を大切にするため、あまり手を付けずにそのまま残しておくのも一つの方法ですし、相続した人が、自分の思うように処分することも自由でしょう。

なお、相続税の申告対象となった財産を、税務調査が終了するまで保管しておかなければいけないというような決まりはありませんのでご安心ください。    通常ですと、四十九日の法要終了後に形見分けが行われることが多いようです。

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
家族名義の貸金庫まで見られますか。

相続税の税務調査では、名義の如何に関わらず、実質的に被相続人(亡くなった方)の財産であったものが申告から漏れていないかを確認にきます。

したがって、名義が家族のものだからといって調査対象から外れることはありませんし、家族名義であることのみを理由として、調査を拒否することも出来ないと考えます。

貸金庫の場合であれば、通常、名義の如何に関わらず、貸金庫を借りた目的、その貸金庫の使用料が引き落とされている口座の開設者、通帳や印鑑の保管者、貸金庫の鍵等の保管者、貸金庫の開閉者が誰であるかを基準として、実質的な貸金庫の借主を判断します。

したがって、その貸金庫に入っているものは、特に反証がない限り、その実質的な貸金庫の借主のものだと判断されることになるでしょう。    
家族名義の貸金庫であっても、税務調査では確認されると思って準備しておいた方が良いでしょう。

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
銀行に貸金庫がありますが中身の整理をしておくべきでしょうか。調査の連絡後に貸金庫を開けると疑われるから止めておいた方が良いでしょうか。

銀行に貸金庫が有る場合、大抵、税務調査においてその中身の確認が行われます、ケースによっては、税務調査の初日に確認を行うこともあるようです。
だからといって貸金庫の中身を特に整理しておく必要はありませんが、相続開始前、相続開始後の貸金庫の借主以外の財産以外のもの(預託物等)が入っている場合は留意が必要です。整理する必要まではないと思いますが、何が入っていて、それがどうしてそこで保管されているかは説明できるようにしておいた方が良いでしょう。

また、貸金庫には、家族のものを一緒に保管することが有るかもしれませんが、その場合、特に反証できなければ、その家族のものまで、その貸金庫の実質的な借主のものとみなされるリスクが有ることに留意が必要です。

また、税務調査では、貸金庫の開閉記録や銀行内の防犯カメラなどを使って、貸金庫の利用状況を確認することが一般的に行われます。
調査連絡後に貸金庫を開けると確かに疑われますので出来れば控えた方が良いと思いますが、やむを得ない場合もあるでしょうから、絶対に駄目というわけではありません。

相続開始のときに貸金庫の中に何が入っていたか、相続開始後にいつ、誰が、何の目的で貸金庫を開閉し、その際に何を入出庫したかなど、きちんと説明できるようにしておけば問題ないでしょう。

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
家族に見られたくないもの(へそくり、貴金属等)を部屋の奥に隠しておいてもいいでしょうか

家族に見られたくないものを、税務調査のときに部屋の奥に隠しておくことはお勧めできません。税務調査では、調査担当者が必要だと判断すれば、納税者の方の了承を得た上で、部屋の奥までも捜索する可能性があります。
その際に、家族に見られたくないものが見つかる可能性がありますが、不意に見つかっても冷静に、かつ具体的にどういった財産であるか説明することが出来ますか。

もし、見られなくないものが有る場所を見せて欲しいと言われたら、多くのケースで、納税者の方の挙動が不審になったり、落ち着きが亡くなったりする傾向があります。たとえそれが相続税の申告漏れ財産でなかったとしても、そのような反応を見て、あらぬ疑いをかけられる可能性も考えられます。
ベテランの調査担当者は、納税者の方の僅かな心象の変化や異常な行動を見逃さないように目を凝らしているものです。
それでなくとも緊張する税務調査の現場に、敢えて見つけられて困るようなものを置いておく必要はないのではないでしょうか。

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
自宅に金庫があります。開けて見せないといけないのでしょうか。また、中身は整理をしておくべきでしょうか。

家族への部屋の入室が税務調査に必要かどうかによりますが、一般的に、その必要性の判定は税務職員の裁量に委ねられている面があります。
過去には、屋根裏、床下、壁の中、庭、小屋など様々なところに相続財産を隠していた事例が有るようですので、確認する範囲も、おのずと広くなってくるのではないでしょうか。

ただし、その調査を受けることにより私的に被る不利益と、税務調査の必要性とを比較して、不利益の方が多きような場合には、一般的な受忍義務を超える要求と言えると思いますので入室を断ることは可能だと考えます。

また、速やかに部屋に入れない合理的な理由が有る場合には、入室の日時を変更してもらうことは可能だと考えます。

入室を望まない場合には、調査担当者に、なぜ入室して欲しくないか丁寧に説明し、理由に応じて、日を改めてもらう又は入室を断わりたい旨を説明しましょう。
理由を説明してもなお入室を求められた場合には、調査に立ち会っている税理士等に、同様の説明を行い、対応を協議してください。

なお、入室を頑なに断ることは、調査の長期化といった形であなたにとって不利益に働く可能性もありますので、主張すべきことは主張しながらも、税理士等第三者の意見も踏まえて、ある程度は容認することも必要と考えます。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の3

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
家族の部屋等への入室は断ってもいいでしょうか。

家族への部屋の入室が税務調査に必要かどうかによりますが、一般的に、その必要性の判定は税務職員の裁量に委ねられている面があります。

ただし、その調査を受けることにより私的に被る不利益と、税務調査の必要性とを比較して、不利益の方が多きような場合には、一般的な受忍義務を超える要求と言えると思いますので入室を断ることは可能だと考えます.

また、速やかに部屋に入れない合理的な理由が有る場合には、入室の日時を変更してもらうことは可能だと考えます。

入室を望まない場合には、調査担当者に、なぜ入室して欲しくないか丁寧に説明し、理由に応じて、日を改めてもらう又は入室を断わりたい旨を説明しましょう。

理由を説明してもなお入室を求められた場合には、調査に立ち会っている税理士等に、同様の説明を行い、対応を協議してください。

ただし、入室を頑なに断ることは、あなたにとって不利益に働くことがありますので、主張すべきことは主張しながらも、税理士等第三者の意見も踏まえて、ある程度は容認する必要もあると考えます。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の3

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
実地調査の場所として被相続人の自宅を指定されました。すべての部屋を見て回るのでしょうか。

税務署が、調査が行うこととした理由(選定理由)によりますが、すべての部屋を見て回ると思っておいた方が良いでしょう。居間や応接室で面談と書類確認だけして終わるケースもありますが、すべての部屋を見て回るという心づもりで準備しておいた方が慌てなくて済みます。

相続税は他の税目と異なり、被相続の居住していた家屋やそこにある各種財産そのものが申告の対象物となりますので、税務職員がそれを検査したいと言えば、正当な理由なくこれを拒絶することは出来ません。また、相続税の税務調査では、調査担当者は、申告に計上されていない財産が有るのではないかという目線で調査に臨みますので、申告書に反映されている財産に関する書類のみを確認し、調査が終わるといいうことは稀です。

必ずとは断言できませんが、すべての部屋を見て回ると思って準備しておいた方が、結果として、調査が早く終わることが多いように感じます。

⦅参考法令⦆ 国税通則法74条の3

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
実地調査の日程が決まりました。何を用意しておけばいいのでしょうか。

相続税の実地調査では、相続人からのヒアリングが半日、申告内容を確認するため現物や書類等の確認が半日で、初回は1日調査が行われることが一般的です。

そのため、ヒアリングに対応できるよう、過去の出来事などを、書類等を確認しながら整理することを最優先に考えてください。いつ、どこで、誰が、何を、どのような方法で、どうしたかを整理しておくと対応が楽になります(「よくある質問」参照)。

その際に注意することは、記憶にないこと(記憶が曖昧なこと)を明確にしておくことです。記憶にないことや記憶が曖昧なことは、その旨回答するようにしてください。 

次に、事前に準備しておくべき書類等ですが、相続税の申告書一式、被相続人及び同居親族の預金通帳、定期證券、印鑑、保険証券その他申告書の作成に活用した書類となります。相続税の申告書に記載されている財産に関係する書類や物件は、一通り準備しておくと、調査の進行がスムーズになります。

最後に、税務調査は、犯罪捜査のために行われるものではありません。受けた利益以上に課税されることもありません。調査経験の豊富な税理士等がついていればそれほど心配する必要はありませんから、冷静に落ち着いて対応できるよう、平常心を心掛けましょう。慣れない調査に臨むわけですから不安な気持ちになりますが、意図的に不正な申告を行っていない限りきっと大丈夫です。

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
相続税の税務調査を担当する「所管官署」とはどこですか。また、調査担当者とはどのような方ですか。

相続税の税務調査を担当する「所管官署」とは、税務調査の対象である相続税の納税地をする国税庁、国税局若しくは税務署又は税関(以下「税務署等」といいます。)をいいます。

なお、相続税の納税地は、被相続人の死亡の時における住所が法施行地にある場合には、当分の間、その被相続人の死亡の時における住所地とされていますので、相続税の税務調査を担当する「所管官署」とは、税務調査の対象となる被相続人の死亡の時における住所地を管轄する税務署等ということになります。

また、調査担当者ですが、税務署等の職員のうち、その調査を行う国税に関する事務に従事している者とされています。

したがって、例えば税務署であれば、資産課税(担当)部門の職員ということになります。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9、相続税法62条、相続税法附則第3項

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
相続税の税務調査を担当する「所管官署」とはどこですか。また、調査担当者とはどのような方ですか。

相続税の税務調査を担当する「所管官署」とは、税務調査の対象である相続税の納税地をする国税庁、国税局若しくは税務署又は税関(以下「税務署等」といいます。)をいいます。

なお、相続税の納税地は、被相続人の死亡の時における住所が法施行地にある場合には、当分の間、その被相続人の死亡の時における住所地とされていますので、相続税の税務調査を担当する「所管官署」とは、税務調査の対象となる被相続人の死亡の時における住所地を管轄する税務署等ということになります。

また、調査担当者ですが、税務署等の職員のうち、その調査を行う国税に関する事務に従事している者とされています。

したがって、例えば税務署であれば、資産課税(担当)部門の職員ということになります。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9、相続税法62条、相続税法附則第3項

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
相続税の税務調査で「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」とは何ですか。

相続税調査における調査の対象となる帳簿書類その他の物件とは、国税に関する法令の規定により備付け、記帳又は保存をしなければならないこととされている帳簿書類のほか、相続税の調査の目的を達成するために必要と認められる帳簿書類その他の物件が含まれることとされています。

なお、この帳簿書類その他の物件には、国外において保存するものも含まれることとされています。

具体的にいえば、例えば、不動産の権利書、保険の証券や給付の通知書、預貯金通帳や残高証明書、有価証券の年間取引報告書や残高証明書、その他被相続人から相続で取得したと認められる財産に係る一切の書類や不動産、動産、構築物、現金、貴金属、美術品等様々なものが該当します。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9、相続税法2条、9条乃至9条の6

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
相続税の税務調査で「調査の対象となる期間」とは何ですか。

相続税の税務調査で「調査の対象となる期間」とは、相続が発生した年月日を指します。

したがって、「令和〇年〇月〇日発生」の被相続人〇〇〇〇の相続に係る相続税といったように、調査対象期間が通知されます。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
相続税の税務調査で「調査の対象となる税目」とは何ですか。相続税以外の税目も含まれるのですか。また、事前通知されなかった税目についても調査の対象となるのでしょうか。

相続税の税務調査で「調査の対象となる税目」は、相続税です。

事前通知で、調査の対象となる税目が相続税だと通知された場合には、原則として、その他の税目は調査対象に含まれません。

ただし、実地調査を行う過程で、事前通知した事項以外の事項について非違が疑われた場合には、事前通知した事項以外の税目についても調査が行われる可能性があります。この場合には、納税者の方に対し、調査対象に追加する税目について説明が行われ、理解と協力を得た上で行われます。

なお、当初の調査の場合と同様ですが、追加する理由について説明が行われることはありません。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
事前通知された日時、場所を変更することは可能ですか。その場合、どのような手続が必要で、何日前までに伝えないといけないでしょうか。

税務調査の事前通知に際して、通知された日時が都合悪いという場合や場所を変更して欲しいという場合には、合理的な理由が有れば、申し出により変更が可能です。 
また、事前通知による調査日時、場所の確定後であっても、通知した日時、場所について、例えば、一時的な入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情が生じたなど、合理的な理由が有れば、申し出により変更が可能です。

なお、変更の申出方法については、特に法令で定められた手続きはありませんので、口頭による申出で差し支えないとされています。     
おって、申し出の期限も特に法定されていませんので、調査実施前に、変更の必要性があることが判明後、速やかに連絡すれば問題ないものと考えます。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
事前通知される内容を教えて下さい。

事前通知される内容はすべてで11項目あり、次のとおりです。

  1. 実地調査を行う旨
  2. 実地の調査を開始する日時
  3. 調査を行う場所
  4. 調査の目的
  5. 調査の対象となる税目
  6. 調査の対象となる期間
  7. 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
  8. 納税者の氏名及び住所
  9. 調査を行う職員の氏名及び所属官署
  10. 上記②及び③は合理的な理由が有れば変更可能であること
  11. ④~⑦で通知されなかった事項についても、事前通知された調査に基づき「非違が疑われることになった場合」には、調査が可能であること

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
最初の日時の連絡等も事前通知の一部なのですか。

事前に通知すべき内容は法定されており、実地の調査を開始する日時も事前通知項目の一つとされています。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
事前通知がある調査と事前通知がない調査の違いは何ですか。

実地の調査を行う場合には、原則として、調査の対象となる納税者の方に対して、事前通知を行うこととされています。

ただし、申告内容、過去の調査結果、事業内容などから、事前通知をすると、違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ、又はその他調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると判断した場合には、事前通知をしないこととされています。

なお、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると判断した場合とは、例えば、事前通知をすることにより、税務代理人以外の第三者が調査立会いを求め、それにより調査の適正な遂行に支障を及ぼすことが合理的に推認される場合、事前通知を行うため相応の努力をして電話等による連絡を行おうとしたものの、応答を拒否され、又は応答がなかった場合、 事業実態が不明であるため、実地に臨場した上で確認しないと事前通知先が判明しない等、事前通知を行うことが困難な場合をいうこととされています。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9、74条の10

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
事前通知とはどのようなものですか。

税務署長等が、調査を担当する職員に、納税義務者に対し実地の調査を行わせる場合に、その納税義務者の方又はその納税義務者の方から委任を受けた税理士等に対し、調査を行う旨、開始日時、開始場所、調査対象税目など一定の項目を予め通知するものです。

これは、納税者の予見可能性を高め、調査に当たって納税者の方の協力を促すことで、より円滑かつ効果的な調査を実施するために行うものです。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
被相続人が小さな会社を経営していましたが、相続後に清算を行いました。被相続人からその会社に対する貸付金があったのですが、清算した結果、全額は戻ってきませんでした。相続税の申告では、その会社への貸付金を全額相続財産として計上していたのですが、更正の請求を行うことはできますか。

相続財産としての貸付金は、相続開始時点において現存する債権であり、価額はその時の時価となります。相続開始時点における時価ですので、事後的に法人資産を売却するなどで清算を行った結果、返済不能になったとしても、相続開始時点での法人の財務状況等から判断すれば返済可能であったという場合には、更正の請求は難しいのではないでしょうか。あくまでも、相続開始時点での法人の財務状態等をベースに、その時点で返済可能性があったか否かをメルクマールとして、その他の事情を総合勘案した上で、更正の請求の可否を判断すべきものと考えます。

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
ZoomやGoogle Meets等のWeb会議で税務調査に参加することは可能でしょうか。

コロナ禍により社会が不安定化する中で、働き方改革の一環としてZoomやGoogle Meets等のWeb会議の普及がすすんでいます。 
したがって、わざわざ出向かなくても税務調査もWebで済ませれば良いのではないかという意見もあるでしょう。

この点については、税務調査の執行権限を有する税務署等の判断によるところですので回答を導き出すのは困難ですが、現状では、使用環境にもよりますがZoomやGoogle Meets等のWeb会議ソフトのセキュリティーが万全とはいえないことから、Web会議で税務調査に参加することは困難だと考えます。

国税職員は、国家公務員法と国税通則法で守秘義務の規定が設けられており、国税の調査で知り得た情報を漏洩してはいけないこととされています。

そのため、セキュリティーが盤石ではなく、情報が他に流出する可能性が有る状態を看過して調査を行うことは出来ないと考えられるからです。
制度と技術面の整備ができて、Webで対応できるということになれば、相互に負担軽減が図られますので、税務署等が、積極的に対応してくれることを望みたいですね。

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
相続財産の把握において、家族仲が悪くお互いが持っている相続財産の内容について十分な確認ができません。このような場合、分かる範囲の財産で申告しておいても問題ないでしょうか。

相続税の申告は、各相続人が亡くなった方の財産を把握して自ら申告を行う必要があることとされており相続財産に漏れがあった場合には、原則として加算税等が賦課されることとされています。今回のケースですと、家族仲が悪いということでお互いが持っている相続財産の内容について十分な把握ができないということですので、申告に漏れがあったった場合には、加算税等が賦課されます。

家族仲が悪いという事情はあくまでも相続人間の個人的な事情とみられていまいますので申告できない正当な理由があると認められる可能性はかなり低いと考えます。

ただし、納税者の責めに帰すべき事由のないようなケース、例えば法令解釈が変更(明確化)された場合や申告期限後に特定の事実が発生したのような場合には、正当な理由があると認められ、加算税等が賦課されないこともあります。

国税通則法第65条

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
遺産分割で係争中の相続人と同席できません。別日程で、調査を受けることが可能でしょうか。

事前通知があった段階で、調査を行う日時について、合理的な説明を行えば、変更を検討してもらうことは可能です。その結果、係争中の相続人間で、別日程で税務調査を受けるという選択肢は十分有り得ると考えます。

また、相続税の税務調査では、調査担当者が、各相続人から、被相続人が亡くなるまでの経緯や相続財産に関することなどを聴取することとなりますが、調査担当者としても、別々に話を聞く方が、相違点が明らかになるほか、質問応答記録書が作成しやすいなどのメリットが有ります。また、相続人同士が係争中の場合には、他の相続人が持っている財産についてもっとよく調べて欲しいと、様々な情報が提供されるケースがあるようですので、敢えて別日程で税務調査の通知をすることが有ります。

したがって、断定まではできませんが、別日程で調査を受けることは可能でしょう。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9

投稿者:小林幸生 役職:税理士
仲の悪い相続人とは同席したくありません。別日程で、調査を受けることが可能でしょうか。

事前通知があった段階で、調査を行う日時について、合理的な説明を行えば、変更を検討してもらうことは可能です。その結果、相続人間で、別日程で税務調査を受けるという選択肢も有り得ると考えます。

また、相続税の税務調査では、調査担当者が、各相続人から、被相続人が亡くなるまでの経緯や相続財産に関することなどを聴取することとなりますが、調査担当者としても、別々に話を聞く方が、相違点が明らかになるほか、質問応答記録書が作成しやすいなどのメリットが有ります。また、相続人同士の仲が悪い場合には、他の相続人が持っている財産についてもっとよく調べて欲しいと、様々な情報が提供されるケースがあるようですので、敢えて別日程で税務調査の通知をすることが有ります。

したがって、断定まではできませんが、別日程で調査を受けることは可能でしょう。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
家族やご近所の方に見られたくないため自宅に来てほしくありません。税務調査を受ける場所を変更してもらうことは可能でしょうか。こちらから税務署を訪問することとしてはだめですか。

事前通知があった段階で、調査を行う場所について、合理的な説明を行えば、変更を検討してもらうことは可能です。その結果、税務署で税務調査を受けるという選択肢も有り得ると考えます。

ただし、なぜ家族や近所の方に見られたくないかという理由によるのではないでしょうか。ただ単に家族や近所の人に見られたくないというのみの理由では、合理的な説明とは判断されないかもしれません。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
税務調査は、どこで受けることになりますか。

相続税の税務調査の場合、おそらく被相続人が居住していた家で調査を行いたいとの通知が有ることが一般的です。

これは、その家にあるもの全てが基本的には相続財産であり、相続財産に係る確認が一度に行えること、被相続人の生活ぶりを確認することで、生活スタイルや取引金融機関等が推測できることなどとのメリットが有るからです。

なお、事前の通知があった段階で、調査を行う場所について合理的な申し出を行えば、税理士事務所、税務署又は相続人が経営する会社等で税務調査を受けるということを検討してもらうことは可能でしょう。

ただし、相続税は他の税目と異なり、被相続の居住していた家屋やそこにある各種財産そのものが申告の対象物となりますので、税務職員がそれを検査したいと言えば、正当な理由なくこれを拒絶することは出来ません。

相続税の税務調査では、経験上、確認可能な相続財産について、すべての確認が終わらなければ申告の適否の判断が行えないケースもあります。そのため、調査担当者から自宅を確認したいとの申し出が有った場合には、正当な理由が有れば日時を変更してもらうことは可能ですが、確認を行わずに調査が終了するということは稀だと思われます。

したがって、相続税の税務調査では、特段の事情がない限り、被相続人が居住していた家で税務調査を受けることになると考えていた方が良いでしょう。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の3、74条の9

投稿者:小林幸生 役職:税理士
現在、入院中です。税務調査を断ることは可能でしょうか。(退院の目途がある場合、ない場合、緩和病棟等で余命宣告を受けている場合)

相続税の税務調査であれば、病状にもよりますが、入院中であることを理由として税務調査を延期してもらうことは概ね可能です。退院の目途がある場合には、調査担当者に症状を説明し、退院した後に、あらためて日時の調整を行うこととしてはいかがでしょうか。

なお、退院の目途がない場合や余命宣告を受けている場合には、個々の申告内容によって対応が異なるものと思われます。税務署等が、税務調査の前提として想定している非違の程度によって、税理士等を介しての税務調査の実施、延期、中止などの選択肢が想定されます。

いずれにしても、病気治療中は体調を最優先に考えるべきですので、病状をきちんと説明し、少なくとも入院期間中は治療に専念できるよう、申し入れを行うべきだと考えます。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9

投稿者:小林幸生 役職:税理士
病弱、高齢等を理由に、税務調査を断ることは可能でしょうか。

体調不良は、当然に配慮されるべき事情です。
したがって、調査担当者に事情を説明し、体調が回復した後に、あらためて日時の調整を行うことは可能だと思われます。おそらく、一定の期間をおいた後に、再度日程調整の連絡が有ると思いますので、体調如何により税務調査を受けることが可能な日時を提示し、調整を行ってください。

なお、単に病弱であるとか高齢であるということが税務調査を断ることができる正当な理由に該当するかというと、疑問です。
個々の事情によりますので断言はできませんが、病弱や高齢という理由だけではなく、具体的にどのような症状が有って税務調査を受けられないかを説明するよう心掛けてください。

仮に、体調面から1人で対応するのが不安とか、認知能力に不安が有るということであれば、他の相続人(子供や兄弟姉妹)の同席を求めることは可能だと考えます。また、税務代理権限証書を提出した税理士等がいる場合は、税理士等の同席は当然可能ですから、体調や年齢面で不安が有る場合には、その点に配慮した税務調査を行ってもらえるよう、申し入れを行ってみてはいかがでしょうか。

⦅参考法令⦆ 国税通則法74条の9

投稿者:小林幸生 役職:税理士
老親の介護で手が離せません。税務調査を断ることは可能でしょうか。

老親の介護は、当然に配慮されるべき事情です。
したがって、調査担当者に事情を説明し、ある程度日時の調整を行うことは可能ですので、施設で預かってもらえる日時や介護の必要性が少ない日時を説明し、税務調査を受けることが可能な日時を提示し、調整を行ってください。

または、問7と同様に、例えば、①納税者の方でなければ対応できない項目以外の対応は、税理士等に任せる、②納税者の方でなければ対応できない項目は電話で対応する、又は③税理士等を介して文書で回答するという方法も選択肢としてはあり得ると考えます。

なお、老親の介護があるといっても、そのことが税務調査を断ることができる正当な理由に該当するかというと、疑問です。

個々の事情によりますので断言はできませんが、介護を理由に、調査を断ることは困難だと思いますので、最大限、介護の現状に配慮した税務調査を行ってもらえるよう申し入れを行ってみてはいかがでしょうか。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9

投稿者:小林幸生 役職:税理士
仕事の繁忙期等を理由に税務調査を先延ばしにしてもらうことは可能でしょうか。その場合、どの程度、先延ばしにしてもらえるでしょうか。

仕事の繁忙期等を理由に、ある程度の範囲内で日程調整を行うことは可能だと考えますが、仕事の繁忙期等を理由に長期の先延ばしを求めることは難しいでしょう。特に基準があるわけではありませんが、1月程度の範囲内で日程の調整を依頼すれば、対応してもらえるケースが多いように感じます。

なお、仕事の繁忙期等で税務調査に十分な対応が難しい場合には、例えば、①納税者の方でなければ対応できない項目以外の対応は、税理士等に任せる、②納税者の方でなければ対応できない項目は電話で対応する、又は③税理士等を介して文書で回答するという方法も選択肢としてはあり得ると考えます。

税務調査の実施は、正当な理由がない限り受任する義務が有るとされていますので、やみくもに先延ばしすることを考えるのではなく、一定の期間内で、どのような方法なら対応可能かを検討してみてはいかがでしょうか。 
その方が、結果として、税務調査が早期に集結し、納税者の方々の精神的な負担が軽減するものと考えます。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9

投稿者:小林幸生 役職:税理士
平日の日中は仕事が休めないのですが、平日の夜や土日を指定することができるでしょうか。

税務署の開庁時間は、原則、平日の8時30分から17時までとなっています。

また、調査日程の変更は、変更する理由等から考えて合理的な範囲内のものに限定されると考えられますので、仕事が休めないとの理由で、開庁時間以外である平日の夜や土日を指定することは出来ないでしょう。

ただし、平日の日中に対応できない理由が、例えば、納税者の方でないと対応できない事情があり、その事に対応しないことによる影響が相当なものとなるような場合には、納税者の方が受け入れるべき一般的な受忍義務の範囲を超えているとも考えられますので、そのような事情が有る場合は、税務調査の担当者にその事情を説明し、調査の受け方を含め、対応策を協議してみることをお勧めします。

なお、ケースにもよりますが、代理権限証書を提出した税理士等がいる場合には、その税理士等に、対応可能な範囲で対応を求めることも可能だと考えます。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9

投稿者:小林幸生 役職:税理士
事前に連絡を受けた調査の候補日がいずれも都合がつきません。こちらの都合の良い日時を指定することはできますか。

税務調査の事前通知に際しては、税務署等から、あらかじめ納税者の方や税理士等に、都合の良い日程を確認してくれます。
都合が悪い日時が分かっている場合には、その旨申し出ることで変更は可能だと考えます。
また、事前通知で日程が確定した後であっても、通知した日時について、例えば、入院、冠婚葬祭、業務上やむを得ない事情が生じた場合等は、その旨申し出ることで変更できる可能性はあります。

なお、日時変更の申出の方法は、特に法令で定められているものではないことから、口頭による申出で差し支えないと考えます。

ただし、変更する日時は、変更する理由等から考えて合理的な範囲内のものに限定されると考えられますので、やみくもに先延ばしすることや、代案なく延期の申し出をすることは差し控えた方が良いでしょう。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9

投稿者:小林幸生 役職:税理士
事前の通知なしで、突然、税務職員の訪問を受けた場合、どのように対応したらいいでしょうか

税務職員が行う通常の税務調査は、犯罪の捜査のためのものではありませんので、まずは落ち着いて、税務職員の身分証明書を確認し、調査の対象となる税目、調査の目的などを確認しましょう。その上で、速やかに応じられない正当な理由が有る場合には、その理由を説明した上で、どのように対応すべきか相談することをお勧めします。

ただし、事前通知なしの調査の場合、それなりの理由があってそのような調査が行われているはずですので、日程の変更等は難しいかもしれません。
なお、代理権限証書を提出した税理士等がいる場合には、まずはその税理士に連絡し、対応方針を相談してください。

特に、突然、税務職員の訪問を受けたからと言って、慌てて曖昧な対応をしてしまうと、そのことで、あとあと不利益が生じる可能性が有ります。税務調査は、あくまでも事実を解明し、適正な課税を実現するために実施されるものですので、落ち着いて、事実に基づき、ひとつひとつ確実に対応するように心掛けてください。

おって、調査当日に、「間違っていたら後で訂正すれば良いから」という趣旨の説明を受けて、質問応答記録書への署名押印を求められるケースが有りますが、間違っている可能性が有ること、記憶が曖昧なことに関しては、記憶が曖昧であることなどを付言するか、その項目を抹消するよう依頼してください。
慌てて、その場限りの適当な対応をしてしまうと不利益が生じる可能性があります。

調査は一日で終わるものではありませんから、まずは落ち着いて、関係書類等を用いて自分自身の記憶の裏付けを行った上で、確証をもって対応することをお勧めします。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の8

投稿者:小林幸生 役職:税理士
事前の連絡なしで、調査が行われることがあるのでしょうか。

実地の調査が行われる場合には、原則として、調査の対象となる納税者の方に対して、調査開始前、相当の時間的余裕を置いて、実地の調査を行う旨、調査を開始する日時、場所、調査の対象となる税目、調査の目的など、法定の項目を、電話で通知することとされています。

また、税務代理権限証書を提出している税理士等がいる場合には、納税者の方と税理士等との双方に、法定の項目を、電話で通知することとされています。
ただし、申告内容や過去の調査結果などから、事前に通知をすると、違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ、又はその他、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると判断した場合には、事前通知をしないこともあるようです。
ただし、そのような場合でも、調査の対象となる税目、調査の目的などについては、調査開始後速やかに説明することとされているようですので、ご安心ください。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9、74条の10

投稿者:小林幸生 役職:税理士
事前の通知は、誰に、どのように連絡が入りますか。

実地の調査が行われる場合には、原則として、調査の対象となる納税者の方に対して、調査開始前、相当の時間的余裕を置いて、実地の調査を行う旨、調査を開始する日時、場所、調査の対象となる税目、調査の目的など、法定の項目を、電話で通知することとされています。
また、税務代理権限証書を提出している税理士等がいる場合には、納税者の方と税理士等との双方に、法定の項目を、電話で通知することとされています。
なお、納税者の方が、税理士等に対して通知することについて同意している場合には、税務代理権限証書を提出している税理士等に対し、法定された項目を電話で通知することとされています(その後、税理士等から納税者の方へ、通知連絡を連絡してもらうこととなります。)。

おって、税理士等に対して通知することについて同意を明らかにするために、税理士等が税務署に提出する税務代理権限証書の所要欄に、あらかじめ必要な項目を記載する必要がありますので留意してください。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9

投稿者:小林幸生 役職:税理士
相続税の税務調査が行われる場合、事前の連絡はありますか。

実地の調査が行われる場合には、原則として、調査の対象となる納税者の方に対して、調査開始前に相当の時間的余裕を置いて、実地の調査を行う旨、調査を開始する日時、場所、調査の対象となる税目、調査の目的など法定された項目を通知することとされています。

他方、実地の調査以外の調査が行われる場合には、前述のような詳細な通知は行われませんが調査の対象となる税目、調査の目的などについての通知は行われるようです。
また、実地の調査が行われる場合であっても、申告内容や過去の調査結果などから、事前に通知をすると、違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれがあるなどと税務署等が判断した場合には、事前に通知が行われないこともあるようです。ただし、そのような場合でも、調査の対象となる税目、調査の目的などについては、調査開始後速やかに説明することとされているようですので、ご安心ください。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9、74条の10

投稿者:小林幸生 役職:税理士
任意調査であれば断ってもいいのでしょうか。任意調査を断った場合、何か罰則等が課せられるのでしょうか。

任意の調査であっても、正当な理由がなくこれに応じない場合は、罰則が定められていますので拒否することは出来ません。
なお、任意調査を拒否することができる正当な理由ですが、どのような場合が正当な理由に該当するかについては、最終的には裁判所が判断することなので、確定的なことは分かりませんが、例えば、提示・提出を求めた帳簿書類等が、災害等により滅失・毀損するなどして、直ちに提示・提出することが物理的に困難であるような場合などがこれに該当するものと考えられ、単に多忙や責任者不在といった程度では正当な理由にならないと解されています。

災害のほか、法定された調査手続きを踏まえていないケースや、一般的に求められる受忍義務の範囲を超えるような申し出が有ったようなケースを除けば、調査に応じるべきではないでしょうか。
おって、任意調査に応じなかった場合の罰則は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金とされています。

⦅参考法令⦆国税通則法128条

投稿者:小林幸生 役職:税理士
相続税の税務調査が行われるのですが、強制調査なのか任意調査なのか、どのように見分ければ良いですか。

強制調査が実施される場合には、調査実施時に、地方裁判所等の裁判官が発する許可状が提示されます。

他方、任意調査の場合には、前述のような許可状は提示されません。
また、任意調査の場合、原則として、調査担当者から事前通知等が行われますし、質問検査を受けるものの求めに応じて、その身分を証明する書類の提示が義務付けられていますので、確認することで強制調査か任意調査か確認できるはずです。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9、74条の13、139条

投稿者:小林幸生 役職:税理士
強制調査と任意調査というものがあると聞きましたが、違いは何ですか。

相続税の調査に対しても、いわゆる強制調査と任意調査があります。
まず、強制調査ですが、主に国税局の査察部門が実施する調査で、地方裁判所等の裁判官があらかじめ発する許可状により、臨検や捜索、証拠物の差押え等を行うことです。
裁判官があらかじめ発する許可状に基づき調査を実施するため、強い強制力を伴うほか一定の事実が把握された場合には、検察官に告発しなければならないとされています。

他方、任意調査とは、国税局や税務署の職員が一般的に行う調査で、税務職員の裁量に基づき、質問や検査を行う必要があると判断した場合に、納税者等に協力を求めて任意で実施する調査であり、強制調査のように、犯罪捜査のために行われるものではありません。
任意で実施するというと全く強制力がない調査のように捉えられるかもしれませんが、正当な理由がなく応じなかったり、偽りの答弁を行ったり又は一定の調査の実施を妨げた場合には罰則規定が設けられていますので、一定の強制力はあるものとなっています。
したがって、強制調査と任意調査の違いは、犯罪捜査を目的とするか否かと、その強制力の程度の違いだと言えるかもしれません。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の3、74条の8、128条、131条、132条、155条

投稿者:小林幸生 役職:税理士
相続税の実施調査があるようですが、誰が調査を受けることになるのですか。また、調査を受けるときには、相続人が全員が揃わないといけないのでしょうか。

税務署長等は、納税義務者に対し、実地の調査で質問、検査又は提示若しくは提出の要求をする場合には、原則、事前にその納税義務者に対し調査を行う旨を通知することとされています。したがって、税務調査を受けるのは、税務署から、実地の調査を行う旨の通知を受けた納税義務者ということになります。
なお、この納税義務者ですが、相続税法では、相続又は遺贈(死因贈与を含みます。以下、同じです。)により財産を取得した一定の要件を満たす者と定められています。ですから、いわゆる相続人を含め、相続又は遺贈で財産を取得した方全員が該当する可能性があります。
ただし、調査を受けるときに相続人全員が揃って受けなければならないといけないという訳ではありません。

前述したとおり、税務署長等から通知を受けた方のみが対応すれば足りますし、仮に相続人全員に対し実地の調査の通知が有ったとしても、一定の場合には、実地調査を行う場所や日時の調整は可能です。

税務署の実地の調査には、積極的に協力した方が早く調査が終わるというメリットがありますので、ある程度は調整をしていただいた方が良いですが、合理的に説明できる事情が有る場合には、税務署から実地の調査の通知が有った段階で、いつ、どこで調査を受けるべきかよく相談してみてはいかがでしょうか。
なお、税理士は、納税義務者を代理することが出来ますので、もし税理士に税務代理を任せていただければ、調査に関する通知への対応は、税理士が行うことも可能です。

⦅参考法令⦆国税通則法74条の9、相続税法1条の3

投稿者:小林幸生 役職:税理士
申告書を自分自身で作成して提出した場合、調査対象となりやすいですか。

相続税の申告では、被相続人の生前の幅広い経済活動を総括し、申告対象となる財産の把握や各財産の帰属確認など、多くのノウハウと知識が必要とされます。

余り相続の経験がない相続人の方が相続税の申告書を作成する場合、システム等を活用すればある程度税額計算は正しく行われた申告書を作成することができるかもしれませんが、税務署が計算間違いで実地調査に来ることは稀です(行政指導の対象となることが多いようです。)。

どちらかと言えば、財産の帰属の問題や財産そのものの価値について確認(見直し)するために実地調査が行われる傾向が強いようです。
そのため、そういったことに対応する経験やノウハウを多く持った税理士が作成し、提出した申告書の方が、相続人自身が作成し、提出した申告書よりも、調査対象となる確率は低い傾向にあると言えるでしょう。

あくまでも一般論としてですが、相続人自身で申告書を作成し、提出した場合の方が、調査対象になりやすいと言えるかもしれません。
そのため、相続税の申告を行うに当たっては、全体の約80%の人が税理士に申告書の作成を依頼しているのが実情です。さらに、全体の約20%の人は、税理士法第33条の2に規定する書面まで添付して相続税の申告書を提出しており、この書面が添付されている申告書は、全体的な傾向として、実地調査が行われる確率が低いと言われています。

相続人が、自分自身で相続税の申告書を作成することもできますが、作成のために要する時間、その後実地調査を受けるリスク、追加で税を徴収されるリスク等を考慮すれば、税理士に依頼する方が安心かもしれせんね。

⦅参考文献⦆国税庁実績報告書

投稿者:小林幸生 役職:税理士
都道府県別に相続税の申告件数と調査件数、財産額等は公表されていますか。

相続税の申告件数と申告内容は、国税庁ホームページに各都道府県別で公表されています。

相続税の調査件数や財産額等は、国税庁ホームページには公表されてはいませんが、地方のテレビ局や新聞紙面に都道府県ごとの内容が公表されることが有りますので、注意深く確認しておくと知ることができるかもしれませんね。

⦅参考文献⦆報道発表資料

投稿者:小林幸生 役職:税理士
三大都市圏のような申告件数が多い地域とそれ以外の申告件数が多くない地域では調査対象の基準は異なりますか。(申告件数が多い地域と少ない地域では調査対象となる財産額の基準が異なるのではないですか。)

調査対象になるか否かの基準は同一だと思われます。
ただし、平成29年分の各国税局管内の申告状況と平成30年分の調査件数の関係を見た場合、仮に課税価額が高額な順に調査選定するとすれば、東京国税局管内では概ね3億円超の申告が対象になるのに対して、金沢国税局では概ね2億円超の申告が対象となります。

調査事案の選定は課税価額のみを基準に行われるものではないと考えますが、このような傾向から、三大都市圏とその他の地域では、多少ですが、調査対象となる課税価格階級が異なっている可能性はあると考えます。

(東京国税局管内申告状況)(実地調査の件数:3,403件)

(金沢国税局管内申告状況)(実地調査の件数:280件)

⦅参考文献⦆国税庁統計年報、報道発表資料

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
税務署はどのような基準で調査対象を選ぶのですか。過去の申告や国外送金の有無及び相続時精算課税贈与の有無などは影響しますか。

税務調査を効率的に実施するために一定の基準は設けられていることでしょう。

調査選定された方の傾向を見てみますと、課税総遺産価額が高額な申告、過去の各種租税の調査において繰り返しコンプライアンス違反が確認された人の申告、過去に不動産の高額譲渡が有った人の申告、国外送金や国外に財産が有る人の申告などが選ばれやすいようです。
なお、相続税は、税務調査の中で唯一申告内容の確認段階で預貯金の取引履歴照会ができる税目となっていますので、家族間での資金移動などを踏まえ調査対象に選ばれている可能性はあると思われます。そのため、少なくとも過去5年間の預貯金口座の資金の流れはあらかじめ確認しておいた方が良さそうです。

ところで、相続時精算課税贈与ですが、相続時精算課税贈与の有無で直ちに調査に選ばれることはないでしょうが、相続時精算課税の性質上、「相続時精算課税選択届出書」を提出した以降の該当者間の資金移動(贈与)はすべて相続財産に組み込まれることとなります。したがって、相続時精算課税贈与が有る場合には、より入念に預貯金口座内の資金の流れを確認することが必要です。

また、相続時精算課税贈与を受けていたのに相続税の申告時に精算していないケースが散見されます。相続税法第49条の開示請求手続きを行えば確認できることなので、くれぐれも申告漏れが生じないよう注意しましょう。 

⦅参考条文⦆相続税法第21条の9、21条の15、49条

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
税務調査の対象とされやすい財産は何ですか。

国税庁が、毎年、発表している報道資料によれば、申告漏れ財産の内訳は、その他財産が約38%、現金・預金が約36%となっています。

その他財産には、貸付金や寄託金、未収金の申告漏れなどが想定されます。
現金・預金では、被相続人(亡くなった人)名義の預貯金の申告漏れは少ないでしょうが、家族名義預金の申告漏れなどが多いと想定されます。
また、国外資産として、預金や有価証券等が申告漏れとなっているケースもあるのではないでしょうか。
申告漏れの割合が高くなっている財産については、税務調査の対象にされやすいと見ることはできるでしょう。

なお、近年は、財産債務調書の提出が義務付けされらたり、OECD加盟国からCRS情報が提供されるようになりましたので、海外の財産、特に預貯金等の申告漏れが想定される場合には、税務調査が行われる可能性が高くなると思われます。

⦅参考文献⦆国税庁報道発表資料

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
相続税の税務調査の対象となるのはいくらからですか。財産額等の金額基準はあるのでしょうか。

税務調査の対象となる財産額がいくらかを示すことは出来ませんが、相続税には税金がかからない基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)が有りますし、相続人の中に配偶者がいる場合、配偶者控除が最低1億6千万円ありますから、遺産額が2億円以下の相続税申告については、税務調査が行われる確率は低いのではないかと考えられます。
また、相続税は、課税対象額が高くなるほど税率が高くなる、いわゆる超過累進税率が採用されていますので、各相続人の取得金額が高くなるほど適用される税率が高くなることから、申告漏れ財産に対する適用税率がより高くなる申告の方が、税務調査が行われる可能性は高いのではないでしょうか。

近年では、1件当たりの追徴税額が公表されるなど徴税コストも意識されているようです。
したがって、相続人の状況にもよりますが、課税遺産総額が高く、申告漏れが想定される申告の方が、税務調査が行われる可能性が高いのではないでしょうか。

【平成27年1月1日以後の場合】相続税の速算表
法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円


⦅参考文献⦆国税庁報道発表資料

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
相続税の税務調査の対象とされやすい職業、職種がありますか。

相続税の税務調査の対象とされやすい職業、職種があるかは分かりませんが、相続税の調査で是正を求められている財産の内訳をみると、現金・預金が約36%となっていますので、現金取引が頻繁に行われる職種の方や、そもそも平均収入が多い職種の方が調査対象となる可能性が高いといえるでしょう。
また、例えば、昭和50年代以降、平成の初期までに公共事業等で土地を売却し多額の現金を得ていた人は、預貯金金利が高かったことから、その後の運用で2~3倍程度にまで増やすことが出来たと言われています。
そのため、過去に大口の土地譲渡がった人や土地譲渡の機会が多いと思われる不動産賃貸業等の方も調査対象となっている可能性があります。
更に、相続税には富裕税的な性格が有り、消費税の普及とともに富の再配分を求める役割が強く求められていることから、会社創業者や地元の著名人等のいわゆる富裕層の方も、調査対象となっている可能性が高いと考えられます。
その他にも、経済のグローバル化に伴い、国外財産を保有している方に対する税務調査も一定程度行われているようです。

以上のように様々な職業、職種の方に調査が行われてはいますが、是正する項目が無ければ税務調査は行われませんので、適正な申告が行われていない方に税務調査が行われていることは間違いありません。

⦅参考文献⦆国税庁報道発表資料

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
相続税の税務調査に時効はあるのですか(何年経てば税務調査は行われないのですか。)。

相続税の税務調査は、一般的に法定申告期限(相続開始を知った日の翌日から10月以内)から5年、贈与税の税務調査の時効は法定申告期限から6年以内に行われるといわれています。ただし、相続税特有の事情から、一定の条件のもと時効期限が変更されるケースもあります。

(参考)時効の期限が変更される主な項目

  1. 当初申告で分割されていない財産について、その後当該財産の分割等が行われと異なることとなったことに伴い課税価格が変更されたとして更正の請求が提出されたこと
  2. 民法の、認知の訴え又は推定相続人の廃除等の規定による認知、相続人の廃除又はその取消しに関する裁判の確定、相続回復請求権に規定する相続の回復、相続の承認及び放棄の撤回及び取消しの規定による相続の放棄の取消しその他の事由により相続人に異動を生じたことに伴いにより課税価格が変更されたとして更正の請求が提出されたこと
  3. 遺留分による減殺の請求に基づき返還すべき、又は弁償すべき額が確定したことに伴いにより課税価格が変更されたとして更正の請求が提出されたこと
  4. 遺贈に係る遺言書が発見され、又は遺贈の放棄があつたことに伴いにより課税価格が変更されたとして更正の請求が提出されたこと

    ⦅根拠条文⦆国税通則法70条、相続税法32条、35条、36条

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
相続税の税務調査はいつ頃あるのですか。

相続税の税務調査は、概ね相続開始の日の属する年の翌年又は翌々年の7月以降に調査が有ることが一般的なようです。
ちなみに、相続税の税務調査は、法定申告期限から5年間、贈与税の税務調査は 法定申告期限から6年間実施することが出来ることとされています。
なお、税務署が相続税の税務調査に新規に調査する件数は、7月、8月及び翌年4月頃に多くなる傾向があるようです。

⦅根拠条文⦆国税通則法70条、相続税法36条

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
相続税の税務調査とはどのようなものですか。

税務調査は、納税者の方が行った申告の内容が正しいかどうかについて、税務職員が、被相続人(亡くなった方)の財産を確認し、申告内容に誤りが認められた場合や、申告する義務がありながら申告していなかったことが判明した場合に、是正を求めるものです。
相続税の税務調査と同時に

  1. 所得税
  2. 贈与税
  3. 印紙税


などについても調査が行うことがあります。
税務調査には、税務職員が、納税者の納税地等へ実地に赴いて調査を実施する実地調査と、税務署へ来署を求めて実施する実地調査以外の調査が存在します。
実地調査は、被相続人の住んでいた家に出向き、相続人から聴き取りを行うほか、家財を含め財産一式について現物を確認することが一般的です。
実地調査以外の調査は、相続人に対し来署を求め実施することとなりますが、法令上、事前通知(国税通則法に定められた事項の説明)が義務化されていないことに留意が必要です。
税務調査では、国税通則法に法定された調査手続を遵守するとともに、納税者の主張を正確に把握し、的確な事実認定に基づいて十分に法令面の検討を行い、適正な課税を実現することが求められています。なお、税務調査に当たっては、税務職員に課された守秘義務の関係から、原則、第三者の立ち合いは認められませんが、税務代理を委任された税理士等は立ち会うことができることとされています。

⦅根拠条文⦆国税通則法74条の2~13

投稿者:竹内靖子 役職:税理士
配偶者居住権の設定を検討している建物の一部を、第三者に賃貸しています。このような場合でも、配偶者居住権は設定できますか。

設定することはできます。ただし、第三者に賃貸している部分には設定することができませんので留置してください。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
配偶者居住権の設定を検討している建物の一部を、夫が事業用として使用しています。このような場合でも、配偶者居住権は設定できますか。

設定することはできます。
相続後に継続して事業に使用しても良いですし、廃業して自宅として利用することも可能です。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
配偶者居住権の設定を検討している建物の権利が、夫と長男の共有となっていました。このような場合でも、配偶者居住権は設定できますか。

残念ながら設定できることはできません。もし、配偶者居住権を設定したいのであれば、相続が発生する前に、長男の権利をあなたか夫が取得しておく必要があります。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
父の死亡時に、母が自宅の配偶者居住権を取得し、私が自宅の所有権を取得しています。母の認知症が進み自宅で暮らすのが無理になりました。自宅を売って介護施設の入所費用に充てたいのですが、可能でしょうか。

配偶者居住権が設定された状態のご自宅をそのまま売却しようとする場合、買主にとって、配偶者居住権の存在は大きなマイナス要素となります。
そこで、お母様に配偶者居住権を放棄していただいた上で、ご自宅を売却することが考えられます。

また、第三者に自宅を賃貸し、その賃料を介護施設の入居費用に充てることも可能です。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
配偶者居住権の設定された自宅は融資の担保価値が下がりますか。

配偶者居住権の設定された自宅の財産価値は、相続税法による場合、当該自宅の時価から配偶者居住権の評価額を控除して算定されます。したがって、配偶者居住権の設定された自宅は、原則、配偶者居住権の評価額に応じ、融資の担保価値が下がると考えられます。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
自宅しか財産が無く、妻が自宅を相続した場合、先妻の子から遺留分侵害額請求が行われるかもしれません。配偶者居住権を設定しておけば防げますか。

配偶者が、建物の完全な所有権を取得する場合の建物評価額より、配偶者居住権の評価額の方が低額になります。
また、配偶者居住権は、存続期間を自由に定めることができますので、存続期間を調整することによって配偶者居住権の評価額を一定の範囲で調整することができます。

そのため、配偶者居住権の評価額を調整して配偶者居住権を設定することにより、先妻の子の遺留分を侵害しないよう事前に調整することができます。

なお、婚姻から20年以上経過してから行われた配偶者居住権の遺贈については、特別受益に含まれていないとされていますので、くわしくは弁護士等の専門家にご相談ください。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
配偶者居住権を設定した場合、自宅の建て替えができなくなりますか。

配偶者居住権は、その対象となる建物の全部が滅失した場合、消滅します(民法1036条、616条の2)。したがって、自宅を建て替える場合、配偶者居住権が設定された建物が消滅することになりますので、配偶者居住権も消滅します。そのため、配偶者居住権が設定された自宅建物を建て替える場合には、配偶者居住権の権利者から、自宅の建て替えについての同意を得ておく必要があると考えられます。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
妻が単身で居住するのに便利なマンションを見つけたので、自分の死後、長男に当該マンションを購入してもらう予定です。このマンションに配偶者居住権を設定することはできますか。

配偶者居住権が成立するためには、相続開始時に、配偶者が居住建物に現に居住していることが必要となります。
そして、本問の配偶者は、相続開始時に、配偶者居住権の対象となるマンションに居住していないことから、配偶者居住権は成立しないということになります。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
遺贈によって、別居中の妻の自宅に配偶者居住権を設定できますか。

別居中の妻の自宅であっても、配偶者居住権を設定することはできます。なお、配偶者居住権が成立するためには、成立要件①②を充足する必要があります。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
これから新築予定の自宅に配偶者居住権を設定できますか。

これから新築予定の自宅についても、遺贈又は死因贈与契約によって、配偶者居住権を設定することはできます。
なお、配偶者居住権が成立するためには、以下の要件を充足する必要があります。
① 相続開始時、配偶者が遺産である建物に居住していたこと
② その建物が、被相続人の単独所有又は配偶者と二人の共有状態にあること

したがって、配偶者居住権が成立するためには、相続開始時に、新築予定の自宅建物が既に完成しており、現に配偶者が居住していることが前提となります。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
海外の自宅に配偶者居住権を設定できますか。

相続は被相続人の本国法が基準となりますが、不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利はその目的物の所在地法を基準とするとされています(法の適用に関する通則法13条、36条)。
したがって、海外の自宅に配偶者居住権を設定できるか否かは、その自宅所在地の法律を基準に判断することになります。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
複数の自宅に配偶者居住権を設定できますか。

配偶者居住権は、相続開始時に「居住していた」建物に成立する権利です(民法1028条1項本文)。
また、この「居住していた」とは、配偶者が当該建物を生活の本拠としていたことを意味します。
したがって、配偶者居住権が成立する建物は、相続開始時に配偶者が生活の本拠としていた建物に限られます。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
配偶者居住権が設定された自宅の固定資産税や修繕費用は誰が払うことになりますか。

配偶者は、配偶者居住権が設定された居住建物の「通常の必要費」を負担することとされています(民法1034条1項)。
なお、居住建物の固定資産税や修繕費は「通常の必要費」に含まれると解されています。
したがって、原則として、配偶者が、自宅の固定資産税や修繕費を支払うことになります。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
配偶者居住権を設定すれば相続税が節税できるのですか。

相続税に関する主なメリットは以下のとおりです。
① 一定の場合に小規模宅地等の特例の適用も受けることができます。
② 子が居住建物とその敷地の所有権を取得した場合、子が負担する相続税額を軽減することができます。
③ 配偶者の死亡時(又は配偶者居住権の期間満了時)、配偶者居住権は消滅し、子は完全な所有権を有する居住用建物とその敷地を税負担なく取得することができます。

ただし、民法改正により、新たに配偶者居住権が設けられた趣旨は、被相続人の死後も、配偶者の従前の居住環境を保護し、配偶者の生活の安定を図ることにあります。
そのため、今後、税制の改正等が行われる可能性がないわけではありませんので、節税目的のみを理由に配偶者居住権を設定することは適切ではないと考えられます。

投稿者: 役職:
父が遺言書で自宅に配偶者居住権を設定していましたが、母が先に死亡しました。もし、父が再婚したら、後妻が配偶者居住権を取得するのですか。

お父様が再婚しても、後妻が前妻のために設定された配偶者居住権を取得することはできません。
お父様が後妻に配偶者居住権を設定しようとする場合、別途、遺言書を作成するなど、後妻のために配偶者居住権を設定する手続きを行うことが必要となります。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
父が遺言書で自宅に配偶者居住権を設定していましたが、母が先に死亡しました。この遺言は無効になるのでしょうか。

遺贈は、遺言書の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力は生じないとされています(民法994条1項)。
したがって、本問のような場合には、原則、遺言書全体が無効になるわけではありませんが、配偶者居住権の遺贈に関する部分は無効となります。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
父が遺言書で自宅に配偶者居住権を設定していましたが、母は要らないとのことです。配偶者居住権の遺贈を破棄することはできるのでしょうか。

受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも遺贈の放棄をすることができるとされています(民法986条1項)。
したがって、お母様は、遺贈された配偶者居住権を放棄することができます。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
配偶者居住権を設定する場合の遺言書の書き方を教えてください。

遺言書の書き方としては、以下のような文言が考えられます。


遺言者は、遺言者が有する下記建物について、配偶者居住権を、妻〇〇〇〇(〇〇〇〇年〇月〇日生)に遺贈する。

建  物:
家屋番号:
種  類:
構  造:
床 面 積:


なお、原則、配偶者居住権について、相続させる旨の遺言(遺産分割方法の指定)をすることはできないとされています。
遺贈は受遺者が当該遺贈部分のみを放棄することができますが、相続させる旨の遺言を放棄するには相続放棄が必要となり、配偶者に不利益となるおそれがあるためです。
ただし、配偶者居住権を相続させる旨の遺言がされた場合も、直ちに無効とはならず、配偶者居住権の遺贈と解釈される余地はあるとされています。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
配偶者短期居住権や配偶者居住権はどのように設定するのですか。

配偶者短期居住権は、配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合に、当然に発生する権利です。

配偶者居住権は、配偶者短期居住権とは異なり、一定の条件の下、遺産分割遺贈契約(遺言)によって設定される権利です。なお、遺言書によって配偶者居住権を設定する場合、当該遺言書は2020年4月以降に作成される必要がありますので注意が必要です。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
配偶者居住権を設定するのにどのくらい費用がかかりますか。

配偶者居住権を設定するには、原則、遺言書又は遺産分割による必要があります。
また、配偶者居住権を第三者に対して権利として主張できるようにするためには登記を行う必要があります。
したがって、これらの手続きに要する費用が発生することになります。

また、配偶者居住権を登記するため、登記費用と登録免許税の負担が必要となりますが、設定登記の登録免許税は、居住建物の評価額の1000分の2となりますので通常の相続登記の1000分の4よりも安価です。

投稿者:小林幸生 役職:税理士
妻(夫)が自宅に住み続けられる権利(配偶者居住権)とは何ですか。

被相続人が亡くなった後も、配偶者がご自宅で住み続けられる権利で、配偶者居住権と、配偶者短期居住権とがあります。

配偶者居住権とは、配偶者が、遺産分割、遺贈契約(遺言)などにより、配偶者居住権を取得した上で、自宅建物を無償で使用収益することができる権利です。

他方、配偶者短期居住権とは、配偶者が、遺産分割が行われた日または相続が開始した日から6ヵ月が経過するかいずれか遅い日までの間、自宅建物を無償で使用することができる権利です。

投稿者: 役職:税理士
相続財産をお世話になった施設等に寄付したい場合は、どうすればよいですか。

あらかじめ遺言書を作成し、お世話になった施設等に財産を寄付することは可能です。
なお、寄付をしたい場合は、相続後にきちんと寄付を実行してもらえるように、遺言を執行する人を予め決めておいた方がよいでしょう。

投稿者: 役職:
遺産分割はいつまでに行うべきですか。

遺産分割に特に期限はありません。

したがって、相続人同士で納得がいかなければいつまでも話し合いを続けることはできます。

ただし、相続税の申告期限(相続の開始の日の翌日から10ヶ月以内)までに分割が確定しない場合であっても、未分割の相続財産を、法定相続人が法定相続分に従って取得したものとして、申告期限までに相続税の申告書を提出しなければなりません。この場合、「配偶者の税額軽減の特例」や「小規模宅地等の特例」などの適用は受けられませんが、一定の手続きを経ることで、申告期限から3年以内に分割が確定すれば遡って適用が受けられますので留意が必要です。

投稿者: 役職:
暗号資産(仮想通貨)を相続や贈与により取得した場合の課税関係はどうなりますか。

暗号資産(仮想通貨)を相続や遺贈、贈与により取得した場合には、相続税又は贈与税が課税されます。相続税法では、個人が金銭に見積もることができる経済的価値のある財産を相続や遺贈、贈与により取得した場合には、すべて相続税または贈与税の課税対象となるとされています。

ところで、暗号資産(仮想通貨)については、資金決済法において、移転可能な財産的価値を有する財産である旨が明確とされましたので、被相続人等から相続や遺贈、贈与により取得した場合には、相続税または贈与税が課税されることとなります。

投稿者: 役職:
申告に必要な資料の取り寄せなどのアドバイスは頂けますでしょうか。

申告業務に必要な資料についてもちろんサポートいたします。
また、取得などでご不明点がありましたら、お電話やメール等でいつでもアドバイスさせていただきます。

投稿者: 役職:
交通事故で夫婦が同時に亡くなった場合には相続はどうなりますか。

死亡時刻がはっきりしない場合には、民法では「同時に死亡したと推定する」としており、被相続人が死亡した時には、その配偶者も亡くなっていたものとして扱われ、被相続人と相続人はお互いに相続しないということになります。
例えば、子がいた場合には、その子が両親の相続をすることになり、子がいない場合には、夫の財産は夫の両親が相続し、妻の財産は、妻の両親が相続することになります。

投稿者: 役職:
相続した不動産を売って利益が出た場合はどうすればよいですか。

相続した不動産を売却して譲渡益が出た場合は、所得税の申告も必要です。  所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得に分類され税率が変わってきます。相続した不動産の場合には、相続人は被相続人の取得費と所有期間を引き継ぐことができます。

そのため、不動産の購入当時の資料(売買契約書等や領収書)を用意してください。ほかにも優遇措置がありますので詳しくは税務署や税理士に相談してください。

投稿者: 役職:
預貯金の相続手続きは、金融機関の窓口で直ぐにできますか。

金融機関ごとで異なりますが、直ぐにはできません。一般的には、金融機関で用意している用紙に相続人の全員が署名捺印し、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本等の書類、相続人の印鑑証明書などを提出して申請します。

なお、必要な書類を提出しても、金融機関での確認作業などがありますので、すぐには終わりません。また、金融機関ごとにこの手続きをしなければならないため時間がかかります。

そのため、先に金融機関から用紙をもらってきて手続きをすること、法定相続情報の作成を依頼すること、遺産分割協議書を作成することなどを先に行っておけば、手続きがスムーズに行えます。

投稿者: 役職:
不動産などは、遺産分割でどのように分割すればよいのでしょうか。

代表的な分割方法として、「相続した不動産を売却して、その代金を分ける方法」や「代償分割」といった方法があります。 代償分割とは、例えば不動産を分割するにあたって、分割が困難な場合などに、一人または複数の相続人に相続不動産を現物で相続させ、その現物を相続した相続人が他の相続人に対して金銭等を渡すことで、相続人間の公平を保つという方法です。

投稿者: 役職:
夫が亡くなりましたが、多額の借金があります。私と子供は、相続人としてこの借金を支払わなければならないのでしょうか。

相続をした場合、プラスの財産とともにマイナスの財産も引き継ぎますので、借金も支払わなければなりません。

ただし、相続放棄又は限定承認をすることで、借金の支払いを免れることができます。

なお、相続人が、相続放棄または限定承認をするには、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申立てをしなければなりません。

投稿者: 役職:
相続放棄をしようと思いますが、どのようにしたら良いですか。

相続放棄をするには、自分に相続権があることを知った時から3か月以内に家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出する必要があります。「相続放棄申述書」提出後、家庭裁判所に認められれば「相続放棄申述受理通知書」が交付され、その相続人は初めから相続人ではなかったとみなされます。

なお、相続人が未成年者(または成年被後見人)の場合は、その法定代理人は代理して申述する必要がありますので留意してください。

投稿者: 役職:
事実婚の関係にある妻は相続人となれますか。

婚姻をしていない事実上の妻は相続人とはなりません。

そのため、他に相続人がいる場合は、遺言書を残しておかなければ遺産を受け取ることはできません。

投稿者: 役職:
特別養子縁組をした場合、実父母の相続人になれますか。

なれません。ただし、夫婦の一方が他方の嫡出子(連れ子)を特別養子にした場合は、その関係の中で特別養子と実親との親族関係は終了しないので相続人となります。

投稿者: 役職:
養子がいますが、実子と同様の相続権がありますか。

養子は、民法上、実子と同じ立場で相続できます。

それは、養子は実子と同様に、法定相続人であり、相続権があるからです。

ただし、税法上は「相続税の遺産に係る基礎控除額」、「相続税の総額」、「死亡保険金および死亡退職手当金等の非課税限度額」を計算するうえで、法定相続人に含めることができる養子の数は次のとおり制限されています。

        1.      被相続人に実子がいる場合        1人

        2.      被相続人に実子がいない場合      2人

ところで、民法上の特別養子や配偶者の実子で被相続人の養子になったものは実子とみなされるため上記の養子の数には含まれません。

投稿者: 役職:
代襲相続という言葉を聞きますが、何ですか。

例えば、親(A)が亡くなる前に子(B)が死亡していた場合に、その死亡した子に子供(親から見て孫)(C)があるときは、親(A)が亡くなったことで孫(C)が子供(B)の相続分を引き継いで相続を受けることです。孫も亡くなっている場合には、ひ孫が再代襲相続することになります。

なお、相続人が兄弟姉妹の場合、兄弟姉妹の子への代襲相続は認められますが、孫への再代襲相続までは認められません。

投稿者: 役職:
相続税の申告を忘れていたらどうなるのでしょうか。

相続税は、自主申告制度となっています。

したがって、相続税の申告の義務がない方は申告の必要はありませんが、相続の申告の義務がある方が申告を忘れていた場合、無申告という扱いとなり、相続税のほかに加算税及び延滞税が課せられます。

投稿者: 役職:
相続人のうち一人が認知症なのですが、その場合の遺産分割協議はどうすれば良いですか。

認知症の程度にもよりますが、意思表示ができない場合には、成年後見制度を利用し、家庭裁判所に「成年後見人」の選任を申立てることをお勧めします。なお、選任されている成年後見人が相続人の場合には、利害関係が対立(利益相反)するため、遺産分割協議を行うためには、更に「特別代理人」を選任する必要が生じる場合があります。

投稿者: 役職:
胎児にも相続権はありますか。

胎児にも相続権はあります。

民法に、「胎児の相続については生まれたものとみなす」という規定があるため、胎児が生まれた時は相続開始時に遡って相続したものとみなされます。 なお、相続税の申告における取り扱いは民法の規定と異なることがあるので、詳しくは税理士等の専門家とご相談ください。

投稿者: 役職:
借金などの負債も相続の対象となりますか。

借金などの負債も相続の対象となります。仮に相続をした場合には、相続人はその借金等を返済しなければなりません。

したがって、借金等が多額な場合で、その額がプラスの相続財産よりも多いときは、相続放棄を検討しましょう。ただし、相続放棄をすると借金以外のプラスの財産もすべての相続財産を放棄することになりますので、相続財産の把握は入念に行ってください。

なお、相続放棄は、原則として、自分が相続人であること知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申し立てを行わなければなりません。

投稿者: 役職:
遺産分割をやり直すことはできますか。

民法上、相続人全員の合意があれば可能です。

ただし、相続税の取り扱いでは、法定申告期限を超えてから遺産分割をやり直した場合、遺産分割協議のやり直しではなく、贈与又は譲渡と認定され、新たに譲渡税や贈与税等が課税される可能性がありますのでご注意ください。

投稿者: 役職:
遺産分割協議書は、書面で作成したほうがよいですか。

遺産分割協議書は、必ず作らなければならないものではありません。

ただし、後日の紛争を避けるため作成することをお勧めしています。また、不動産の名義変更や預貯金の解約等に遺産分割協議書が必要になることがありますし、相続税の申告書を提出する際の添付書類として必要となることもあります。

口約束は揉めるもととなりますので、遺産分割協議が成立した場合には、できる限り書面で遺産分割協議書を作成しましょう。

投稿者: 役職:
相続人に未成年の子供がいますが、相続分を親が決めることはできますか。

未成年の子供の相続分を親が決めることはできません。 通常、親も同時に相続人になると思われますので、未成年の子供の相続分を決める(遺産分割協議を行う)場合には、家庭裁判所に「特別代理人」を選任してもらう必要があります。これは、同じ相続人ということで利害が対立(利益相反)するために、行う必要があるとされている手続きとなります。

投稿者: 役職:
相続分(法定相続分)は法律で決まっていますか。

民法では、相続人になれる人の範囲を定めており、これを法定相続人といいます。

法定相続人の相続分は以下のとおりです。

  •  配偶者と子が相続人の場合

   配偶者・・・2分の1 子・・・2分の1

  •  配偶者と親が相続人の場合(子がいない場合)

   配偶者・・・3分の2 親・・・3分の1

  •  配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合(子、両親がいない場合)

   配偶者・・・4分の3 兄弟姉妹・・・4分の1

なお、法定相続人が遺産分割協議を行うことで、法定相続分と異なる分割を行うことは可能です。

投稿者: 役職:
生命保険の活用は、相続対策として有効ですか。

生命保険の活用は、相続対策として有効です。
将来、発生する相続税の納税資金を確保するために生命保険を活用することも有効ですし、生命保険の非課税枠を活用することで相続財産の額を圧縮することも可能です。

なにより、保険は将来のリスクに備えるものですから、相続前後の資金需要に備えることができるという大きなメリットがあります。 保険商品は、時代にとともにより新しくより良い商品が開発・販売されていますので、ご相談いただければ、連携する代理店を介して最新の保険商品の中からベストの保険を提案することも可能です。

投稿者: 役職:
相続税対策としては、具体的にどのような方法がありますか。

相続税対策と一口にいいましても、生前贈与、不動産の有効活用、財産の整理、保険の活用、公益法人の設立、遺言書の作成、養子縁組の活用など手法はさまざまです。

ただし、目先の相続税負担の軽減のみを重視するあまり法的に不安定な状況を作ってしまっては、将来、相続人にリスクを引き継いでしまう可能性があります。家族の安心と安全を重視しながら、長期に渡ってメリットのある相続税対策を提案させていただきますので、まずはご相談ください。

ご相談いただければ、現在の相続税額を試算し、家族構成や財産承継のご希望をお聞きしたうえで、最適な対策をご提案させていただきます。
もちろん、相続税対策を実行した後の、贈与税申告、譲渡所得申告などについても責任をもって対応させていただきます。

投稿者: 役職:
相続税対策として、生前贈与は有効ですか。

計画的に生前贈与を行うことで、贈与税や相続税を節税することが可能です。

例えば、お子さんやお孫さんに暦年贈与の制度を活用し、毎年110万円すれば、贈与した財産分だけ相続財産を減らすことができますので、相続税を減らせることができます(相続開始前3年以内の贈与は、除きます。)。

生前贈与の方法によって、さまざまな相続税対策を検討することも可能ですので、相続後の相続人の負担を少しでも軽減するため、早い段階から税理士等と相談して対策を講じておくことをお勧めします。

投稿者: 役職:
遺産分割について争いがあるのですが、相続税の申告はできますか。

遺産分割について争いがある場合であっても、未分割の状態で期限内に相続税の申告を行う必要があります。

その場合、遺産分割が行われることで相続税の額が変わる可能性がありますが、その場合、一定期間内であれば更正の請求や修正申告を行うことが可能です。

期限内に申告が行えないと不利益がありますので、早期に相続税申告の専門である税理士にお問い合わせください。 なお、税理士は遺産分割の仲裁等を行うことはできませんが、梅田相続サロンでは、相続トラブルに強い弁護士と連携して対応することが可能です。

投稿者: 役職:
申告期限を過ぎるとどのような不利益があるのですか。

正当な理由がないのに相続税の申告を期限までに提出しなかった場合、無申告加算税が課税されます。仮に、期限後に(税務署からの調査の連絡を受ける前に)自主的に申告を行った場合は、納付した税金額の5%を無申告加算税として支払う必要があります。なお、申告期限から1ヵ月以内に申告した場合は、一定の条件のもとで期限後であっても無申告加算税が課税されないケースはあります。

なお、自主的ではなく、税務調査により相続税を申告していないことが判明したため期限後申告書を提出した場合には、納付した税金額の15%を無申告加算税として支払う必要があります。

特に、納付税額が50万円を超える場合には、その超える部分に対して20%の無申告加算税が課税されますので注意が必要です。

その他にも、納付が遅れた期間に応じて延滞税が課税されますので、申告期限内に申告が行えるよう早期に準備することが重要です。

投稿者: 役職:
相続税申告は自分でできないのでしょうか。

相続税の申告を、ご自身で行うことも可能です。

ただし、財産の評価方法等によって相続税の納税額が高額になる可能性があるほか、相続財産の把握等が難しいため税理士が作成することが一般的です。

ご自身で作成される場合のデメリットとしては、税務署に相談に行っても事前予約制で一定の時間しか相談に応じてくれないので何回も相談に行く必要が生じます。また、税務署では、質問されたことについてのみ回答するという形式のため、結果的に税金が高く算出される可能性があります。

ちなみに、事前に照会しておけば大丈夫だと安心される方もいますが、事前の相談ですべての事実関係を伝えることは困難であるため、税務調査において異なる結論がでることもありえます。

そのような傾向から、相続税の専門家である税理士が関与していない申告書は、税務調査に選定される可能性が高くなると考えられます。

したがって、料金は発生しますが、納税額や申告後の対応まで考えれば、税理士に依頼する方が安心ではないでしょうか。

投稿者: 役職:
顧問税理士がいるのですが、相続税の申告のみお願いすることはできますか。

所得税や法人税について、顧問の税理士がいる場合であっても、相続税申告のみを弊社にご依頼いただくことも可能です。実際に、弊社では、顧問税理士からご紹介いただき、顧問税理士と一緒に相続税の業務のみをお手伝いさせて頂いている案件もございます。
なお、正確に相続税の申告を行うには、顧問税理士の持っている情報を確認させていただくことが重要となりますので、顧問税理士に相談いただいた上で、弊社に依頼していただくことが望ましいと考えます。

投稿者: 役職:
相続税の申告までのスケジュールの目安を教えてください。

梅田相続サロンでは、原則、次のようなスケジュールを目安として作業を行います。

相続の開始(被相続人の死亡)

死亡届の提出

死亡届を、被相続人の本籍地または死亡した場所、届出人の住所地の市区町村のいずれかに提出します。

期限:死亡の事実を知った日から7日以内

遺言書の有無の確認

遺言書がないか確認します。公正証書遺言以外の遺言書は家庭裁判所での検認が必要となります。

目途:できる限り速やかに行ってください。

相続人調査確定

遺産分割協議を円滑に進めるために正確な調査が必要です。

目途:死亡の事実を知った日から3ヶ月以内

相続財産調査(概算)

相続財産の全容を確認します。

目途:死亡の事実を知った日から3ヶ月以内

相続放棄・限定承認

家庭裁判所への手続きが必要です。

期限:自己のために相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内

準確定申告・納付

申告の必要のある方は、被相続人の準確定申告書の提出が必要です。

期限:死亡の事実を知った日の翌日から4か月以内

相続財産調査(詳細)

相続財産の詳細な内容を確認します。

目途:死亡の事実を知った日から5ヶ月以内

財産の評価・相続財産一覧表の作成

相続財産の価値を評価し、相続財産の一覧表を作成します。

目途:死亡の事実を知った日から6ヶ月以内

遺産分割協議・協議書作成

相続財産一覧表に基づき、遺産分割協議を行います。

分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停の申立をします。

目途:死亡の事実を知った日から7ヶ月以内

相続財産の名義変更手続き

不動産・金融資産の名義変更、預貯金払戻手続をします。

目途:死亡の事実を知った日から8ヶ月以内

相続税の申告・納付

相続税の申告書提出や納付を行います。

基礎控除額以下なら相続税はかからず相続税の申告は不要ですが、小規模宅地等の特例などの適用を受ける場合には、結果的に基礎控除以下となる場合でも相続税の申告が必要です。 期限:相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内

投稿者: 役職:
相続税申告と併せて不動産登記や土地の売却もお願いできますか。

梅田相続サロンでは、税理士のほか、弁護士、司法書士、行政書士、宅地建物取引士などの各種専門家と連携し、さまざまなことにワンストップで対応できる体制を整えていますので、ご相談いただければ対応は可能です。 相続人の手間や時間的な負担を少なくできますので、ぜひ梅田相続サロンをご利用ください。

投稿者: 役職:
依頼してからどれぐらいで相続税の申告書が出来上がりますか。

相続財産の内容や数量、準備いただいている資料の状況にもよりますが、資料等が揃ってから通常は3ヶ月程度で出来上がります。
なお、梅田相続サロンでは期限前1ヶ月程度の申告も相談に応じています。期限までに日がない場合であっても、お気軽にご相談ください。

相続人の心理的な負担が一刻も早く取り除けるよう、できる限りの対応をさせていただきます。

投稿者: 役職:
相続が発生したら、いつ頃相談に伺えばいいでしょうか。

相続税の申告が、原則、お亡くなりになられた日の翌日から10ヶ月以内とされていますので、出来るだけ早くご相談に来ていただけると、スムーズな申告の流れになります。

ただし、亡くなられた方とのお別れや法要をきちんと行うことが重要ですので、実際には四十九日が終えられてからのご相談が多いようです。 なお、仮に相談が遅れた場合であっても、申告期限1月前なら対応は可能ですが、その場合は、お客様に資料の早期のご用意をお願いするなど、相当の負担をおかけすることになります。

投稿者: 役職:
相続税の申告期限はいつですか。

相続税の申告期限は、「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」とされています。

たとえば、1月1日に亡くなった場合は、11月1日が申告期限日になります。ただし、申告期限が土・日・祝日だった場合には、次の平日が申告期限です。

申告期限に間に合わないと、小規模宅地の特例や配偶者控除などの有利な特例が使えなくなってしましますので、申告期限に間に合わせることが重要です。 なお、遺産分割がうまく運ばず申告期限までに間に合わないときは救済措置があります。相続税の申告書に、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出しておけば、相続税の申告期限から3年以内に分割を完了させて、分割が行われた日の翌日から4か月以内に各特例を適用したうえで、「更正の請求」を行うことができます。

投稿者: 役職:
相続財産がどれだけあれば、相続税がかかるのでしょうか。

相続税とは、人が亡くなった時に財産を相続した相続人等が支払う税金ですが、すべての人が相続税の対象になるわけではありません。相続した財産が、相続税の基礎控除を超える場合にのみ相続税がかかります。

基礎控除 = 3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

したがって、例えば子供2人が相続人のケースでは、4200万円の基礎控除があることになりますので、相続税は一定の方(全体の8%強)にのみかかる税金だといえます。

投稿者:佐藤一郎 役職:税理士
相続税がかかる財産はどんなものですか。

相続人は、相続によって、被相続人のみに与えられたようなものを除き、被相続人が持っていたすべての財産や権利や義務を受け継ぐこととされています。
したがって、預貯金、貸付金、有価証券、不動産、貴金属、著作権など金銭的な価値を見積もることのできるものはすべて、相続税がかかる財産となります。
また、相続人等が被相続人から相続開始前3年以内の贈与により取得した財産や、相続時精算課税制度を利用して贈与を受けた財産は、相続税の課税対象となりますので注意してください。

投稿者:田中太郎 役職:ファイナンシャルプランナー
相続税は誰にかかるのですか。

日本国内に住所がある相続人は、原則、相続財産がどこにあるかを問わず、すべての財産について、相続税がかかります。国内に住所がない相続人は、一定のケースを除き、相続した財産のうち、日本の国内にある財産だけに相続税がかかります。
なお、相続や遺贈によって被相続人(亡くなった方)から遺産を受け取った人が、それぞれ申告、納税する必要があります。
相続人以外で遺言や遺贈によって遺産を受け取った場合でも、相続税の申告、納税が必要となりますので注意してください。

投稿者:鈴木 太郎 役職:税理士

遺言について

元気なので、遺言書を作るのはまだ早いですか。

遺言書は早めに作成しておくことをお勧めします。

内容のきちんとした遺言書は、元気なうちに作成した方が容易に作れます。病気になってしまったために遺言書を作ることが困難になるケースもありますし、高齢になると遺言書の内容を理解することも大変になります。

また、明日も元気でいられるという保障はありません。相続人と、最後の会話さえかわすことができず亡くなった方を多く見てきましたが、その心中は察するに余りあるものがあります。 遺言書は、元気なうちに早めに作成しておきましょう。

投稿者: 役職:
遺言書に記載してしまった財産は、使うことはできないのでしょうか。

そんなことはありません。

遺言書に記載された預金を使うこと、不動産を売却することなどは自由です。遺言書は書いた本人が死亡した後に残った財産をどうするかということを記載するものですので、生前には何ら効力はありません。

ただし、財産の構成が大きく変わってしまった場合などは、遺言の書き直しを検討する必要がありますのでご留意ください。

投稿者: 役職:
遺言に生前のことも書いておくことはできますか。

遺言書に生前のことは記載できません。

認知症になったときの対策は「家族信託」契約で、葬儀費用や納税資金の対策は「生命保険契約」などを活用してはいかがでしょうか。 当法人では、家族信託の作成や生命保険契約についてもしっかりサポートいたしますので、お気軽にお問合せください。

投稿者: 役職:
遺言書とエンディングノートは違うのですか。

遺言書には法的な効力がありますが、エンディングノートに法的効力はありません。

しかし、だからエンディングノートがいらないということではありません。遺言書よりもエンディングノートに書くべきことも沢山あります。 葬儀をどうして欲しいか、介護のこと、延命治療のこと、財産の保管場所のこと、お墓のこと、服用している薬のこと、遺される家族へのメッセージなどは、エンディングノートに記載しておくと家族が大変助かります。内容に応じて、遺言書とエンディングノートを使い分けることが理想的だと考えます。

投稿者: 役職:
遺言書を作成すれば、自分の財産を思い通りに相続させることができますか。

原則として、思い通りに相続させることができます。

それは、民法には遺産の分け方の規定があるのですが、民法の規定よりも遺言書の内容のほうが優先されるためです。「世話になった子に多めにあげたい」「長男の嫁や孫にも遺産をあげたい」「お寺や病院などに遺産を寄付したい」などの希望がある場合は、きちんとした遺言書を作成しておく必要があります。 ただし、法定相続人の遺留分を侵害することは出来ませんの、その点には配意が必要です。

投稿者: 役職:
遺言で、なぜ争いを防ぐことができるのですか。

遺言書を作っておけば、遺産分割の話し合いをしなくても良いという点が大きいです。相続で一番トラブルになりやすい場面が、遺産分割の話し合い(遺産分割協議といいます)です。それをしなくても済むため、トラブルになる可能性を低く抑えることができます。

例えば、「介護に対する労いの言葉が一言もなかった」、「口の利き方が気に入らない」、「いきなり相続手続きの書面を送りつけられ、実印を押せと迫られたので嫌になった」など、どのようなことが原因でトラブルになるかわからないのが相続です。

遺言書を作成することで、「お父さんがこう書いているのだからその通りにしよう」というように相続人が納得しやすくなる、という効果はあると考えます。

投稿者: 役職:
遺言のメリットはなんでしょうか。

相続人間の相続争いを防いだり、遺言書を残した本人の希望を実現できたり、残されたご家族の相続手続きの負担を軽減したりと様々なメリットがありますが、最も大きなメリットは遺言書を残すご本人の想いをきちんと相続人に伝えられるということではないでしょうか。

投稿者: 役職:
遺言ではなく、死因贈与というやり方があると聞きましたがどのようなものでしょうか。

遺言により贈与を行うことを「遺贈」と言いますが、それとは別に死因贈与というやり方で贈与する方法があります。

遺贈と死因贈与は、贈与税ではなく相続税の課税対象とされ、また不動産を贈与する場合には仮登記を行うことも出来ます。

また、遺言は被相続人の意思で行うことができますが、死因贈与は「契約」という形をとります。贈与者の贈与意思とともに受贈者の受諾意思が必要となりますので、契約後に贈与者が贈与を撤回する可能性が減るという効果があります。

なお、死因贈与契約書については、公正証書で作成することをお勧めします。

投稿者: 役職:
遺言執行人は、だれに頼めば良いですが。

遺言執行人には、自分が亡くなった後のことを頼みますので、信頼できる人を選ぶ必要があります。ご家族に頼む方も多いですが、近年は相続トラブルを避けるため中立的な方(弁護士や司法書士などの法律家や税理士など)を選ぶという方も多いようです。

投稿者: 役職:
令和2年に作成された自筆証書遺言と平成30年に作成された公正証書遺言が発見されました。どちらが有効ですか。

令和2年の遺言書が優先されます。自筆なのか、公正証書なのかによって決まるのではなく、日付が新しいほうが優先されます。したがって、令和2年の遺言書が要件を充たしているのなら、令和2年の遺言書が有効となります。

ただし、新しい遺言書によって前日付の遺言書を破棄するなどかかれていない場合、重複していない部分に限定して、古い日付の遺言書も有効です。

投稿者: 役職:
遺言は、どのような場合に作成しておいた方が良いか教えてください。

遺言書を作成する方が良い場合として、以下のようなケースがあげられます。

  • 相続人同士の仲が悪い

遺産分割協議がまとまらない可能性が高く、遺留分に配意した遺言書の作成が望ましいと考えます。

  • 特定の相続人により多くの相続財産を与えたい場合

例えば、長男があなたと同居し面倒を見てくれていた場合などは、ほかの兄弟よりも多く財産を遺してあげたいと思うものです。このような場合、遺言書がないと、ほかの兄弟と長男の相続分は結局平等になってしまう可能性があります。

  • 離婚・再婚をしている場合

例えば、前妻との間に子がいる場合には、相続人は前妻の子と、現在の配偶者とその子になります。

このようなケースでは、遺産分割に協力してもらえないことがありますので、遺言書を作成することが望ましいと考えます。

  • 子供がいない場合

配偶者と被相続人の親や兄弟が相続人となり、配偶者に負担をかけるのは間違いないでしょう。

また、配偶者が継続して自宅に居住できるよう、配偶者居住権を設定するためにも遺言書を作成することが望ましいと考えます。

  • 相続人以外に財産を遺したい場合

内縁の妻(夫)がいる場合、もともと相続権がないので、老後の生活資金等を遺したいのであれば、遺言書を作成することが望ましいと考えます。

  • 相続人に負担をかけたくない場合

遺言書があるだけで、遺された相続人の手続きにかかる時間や費用、手間はかなり軽減されます。

相続が発生すると、相続人は、葬儀や届出だけで落ち着くこともできないでしょう。そんなときに、遺産分割のことを考えることは相当な負担になります。

あなた自身が、誰に、どのような想いで、どの財産を承継したいと考えていたか明確にするためにも、遺言書を作成し、あなた自身の想いなどを詳細に記載しておくことが望ましいと考えます。

投稿者: 役職:
遺言の作成をする場合、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらがよいのでしょうか。

自筆証書遺言は、費用もかからず簡単に作成できます。ただ、要式が厳格なため、後にその効力が争われる場合や、せっかく書いたものが無効とされることも多々あります。また、「法務局における自筆証書遺言書保管制度」を利用していなければ、偽造、変造の危険があり、開封時には家庭裁判所での検認手続きも必要となります。

公正証書遺言は、公証役場に証人2人とともに赴き、公証人の面前で作成します。

そのため、偽造、変造のリスクはなく、効力が争われたり、無効となる可能性は低いといえます。また、亡くなった後、検認の手続きも必要ないため、残された相続人の負担も軽減できます。

したがって、できる限り公正証書遺言を作成することをお勧めしています。

当法人では、遺言書の作成に関しても、しっかりとサポートいたしますのでお気軽にお問合せください。

投稿者: 役職:
父の自筆の遺言が見つかりましたが、どうすればよいですか。

相続人であっても勝手に遺言書を開けてはいけません。公正証書遺言を除く遺言書は、家庭裁判所にて「検認」の手続きをしなければならないとされています。これは、後に改ざんを主張され争われることにもなりかねないからです。

遺言書を家庭裁判所に提出することをしなかったり、その検認を経ないで遺言を執行したり、封印のある遺言書を家庭裁判所外において開封をした場合は、過料に処せられることになっています。ただし、封を開けたことによって遺言自体が無効になるわけではありません。

なお、令和2年7月10日から、「法務局における自筆証書遺言書保管制度」が開始されました。検認が不要となるなどのメリットがありますので、詳しくは最寄りの法務局へお問い合わせください。

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梅田サロンについて

梅田相続サロンのホームページに掲載されているQ&Aや事例紹介等に基づき対応していれば、問題は生じないのでしょうか。

日本経営ウィル税理士法人大阪梅田事務所(以下「当事務所」といいます)では、Webサイトにおける情報・資料の内容には万全を期しておりますが、掲載のものは一定の前提のもと簡潔に作成したものとなりますので、その情報に基づき行動されたとしてもその結果を保証をするものではありません。また、利用者に対して法的アドバイスを提供するものでもありません。 一般的な情報を参考として提供するものですので、当事務所のWebサイトに掲載される情報を用いて行う一切の行為に関連するあらゆる損害などについても理由の如何に関わらず、何らの責任を負うものではありませんのでご留意ください。

もし、Webサイトの情報に基づき何らかの対応を実施したいと希望される場合には、詳細な検討と適切なアドバイスを実施させていただきますので、当事務所まで一度お問合せください。

投稿者: 役職:

梅田サロンについて

父から賃貸不動産の相続を受けて確定申告が必要なのですが、梅田相続サロンに依頼することはできますか。

梅田相続サロン(日本経営ウィル税理士法人)では、相続に関連したさまざまな手続きに対応することが可能です。相続において取得された賃貸動産に係る確定申告や贈与税の申告も行えますのでお気軽にご相談ください。

投稿者:小林幸生 役職:税理士